第５６話「新人」 ページ11
蓮「血塗れの女を見た」
山田「幽霊かっ？！」
A「違うだろ」
山田って時々、変な発言をする。
血塗れの女って…ヤバいな、それ。
泉「そいつの特徴は？」
蓮「日本刀を持ってた。それも多分、人を殺したあと」
泉「裏の人間の可能性があるな」
A「あの、泉先生」
「なんだ」と考え込む泉先生が横目で一応聞く体制
をとった。
A「この話、一般人の俺には」
聞いちゃいけない内容なんじゃ‥
そう思っていたら蓮が否定をした。
蓮「私がもし別の一般人だとして、そんな人目につく
血塗れの女を見たら次の日はどうしてる？」
A「そりゃ、警察に連絡？」
蓮「そう、だから誰に話をしたっていい。
今回見たのは私だけど、あの気配は人が気付け
るほどだから」
泉「まだ素人ってことだな」
蓮「うん。それに他の一般人に見られている可能性
だってある。そういうミスが多い時点
で、一般人で聞いてはいけない内容には入らない」
なるほど、そういうことか。
山田「じゃあ、ここで聞いた内容って他言は？」
泉「あまりしない方がいいだろ。その噂の本人が
気になって探しに来る可能性もある」
山田「じゃ、秘密だな！」
なんか楽しそうだな、山田。←
A「で、一応報告ってことなのか？」
蓮「……まぁ、そうだけど。もう１つ」
泉「なんだ、言ってみろ」
少し間を置いて、蓮が口を開く。
蓮「……その子、同じ中学の子だったよ。
今朝、平然と隣りのクラスで読書をしてた」
A「は？！」
そんな偶然ってあるか？
泉先生を見ると、顎に手をあて考え事をしていた。
蓮「…向こうは恐らく、昨日は誰にも見られてない、
と考えているし意識もしてない」
山田「じゃあ、君だけが知ってるってわけだ」
山田がそういうと、ハッと蓮が気付いたように山田
を見た。
蓮「…ごめん、そう言えば名乗ってなかった。
私の名前、蓮。蓮って呼べばいいから」
山田「蓮か！名前わかんねぇから君って言ったんだ。
俺、山田悠！よろしく」
変なところで、律儀に自己紹介を始めていた。
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作者名：あまぐり(天樂) | 作成日時：2015年2月13日 19時
