終速2メートルの恋 3

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【高橋由伸】









麻衣「赤ちゃん、出来たみたい。」
由「え...！」









昨日の夜

俺がナイターの試合から帰ってきて、一息ソファでついている時








麻「...来年の、秋だって...楽しみだね！！」
由「あぁ...。」









突然の、父親になるという宣告
麻衣は、溢れんばかりの笑顔で話す









アナウンサーで、俺と同じ慶応出身の美人な嫁

明るくて、しっかりもので、もちろん賢くて面倒見がいい
まさに、理想的な嫁だ








.








麻「...どうして」
由「...ん？」








ただ








麻「....なんで、嬉しそうな顔一つしないの。」
由「...いや、そんな、こと」



麻「どうしてよ！！やっとじゃない！
ずっとずっと欲しいって...！

...なのに、どうしてよこんなに...っ。」
由「...嬉しいよ。嬉しいに決まってるだろ。」









その完璧さゆえに、
たまに少し
ヒステリックになる時がある









麻(私、少し感情的になることが...)









付き合っているときから、彼女自身が言っていた
時々そうなってしまう時があるって


でも、それでも結婚しようとなったんだから
俺が支えて行こうって





.






麻「貴方いっつもそう...、野球のことばっかり、家族のことなのに...なんでもっと、真剣に、ハァ...」

由「...すまない。」









今にも泣き出しそうな麻衣
慰めなければ









由「....っ、ちょっとベランダ出るわ。」
麻「...っ、ひっく！」









ならない、のに

そうしなきゃいけないっていうプレッシャーが、なんとも言えないストレスとへと変わる









ただでさえ、毎試合のストレスで倒れそうになるのに
怒りをぶつけてしまいそうになる前に、俺はいつもベランダに出て気分を落ち着かせる









...悪い言い方をすれば、逃げるってことなんだが

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