終速2メートルの恋 3

#111 ページ33

「へ、っ、ちょ、やまっ、せん...！？」







そういうと山田さんは

私の顎を左手で掴み
どんどん私との距離を詰める






近い。
私の息で、山田さんのサラサラの髪が靡く

そして同じように
山田さんの吐息も私の頰にかかる







そして触れ合うだろうほんの直前










.









..









...









山「...好き、。」








____








［スポーツ日本(Aの勤める会社)本社］







【ピーーーーーー】

冷たい誰もいないデスクのファクスから
一通の、プリント






そこには...









____








【坂本勇人】







坂「...、え。」





カラダが、硬直する
生まれてきて初めて、緊張以外でカラダが、硬直する





んなはずない
だって今日、言ったんやもん

“俺のこと、見とけよ” って
やのに、やのに







いや、俺は...






.






俺は、部屋の前まで行き
その部屋のドアのガラスになっている部分から、中の様子をもっと見る






見たくもなかった癖に

部屋の中の様子を少し見えた時から
中で何が起きているかわかっていた癖に









.









..









...









....









.....









坂「...帰えろ。」






もうすぐ30になる大人が情けない
覗きするとか、人の恋路に踏み出そうとするとか






ただ俺は、見てろって言うてただけ
好きになれなんか言うてない

だから、あいつは悪いことなんかしてへん









.









..









『あははっ笑 そうで、すかね？』
『いやいやいやいや！そんなことないですよ〜〜』

『...寂しかった、んですよ。』







.









..









...









坂「...悔しい、な....ぁ。」








俺のことを、見てて欲しかったのに
やのにあの2人エエ感じやし
でもやっぱ俺の方がアイツのこと好きやのに






.







哲人とAが、キスしているところなんて
見たくもなかった






俺は
俺は






どうしたら、ええんやろ、って






.







俺はそのままロッカーへ行って忘れ物を取り
駐車場へ戻って

1人、神宮の夜から逃げた

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