終速2メートルの恋 3

#109 ページ31

「ってことが、あって...。」
山「...。」







山田さんが渡してくれたココアの湯気が、私の頰を掠める

私はロビーのソファーに座らせて貰っていて
山田さんは、すぐそばの机に軽くもたれる






ココアの暖かさと、山田さんが側にいてくれていることで
さっきほどのしんどさからは解放される








「...なんっ、で泣いて、るん、だろうなぁ、私 笑



本当、に、お似合いだから、2人
感動して、しま、ったんですか、ねっ...笑笑」








それでもやっぱり、喉に詰まる







「そ、それとも、男の人は、綺麗だった、らっ、好きでもない人とかとっ、その、そういう、こと、

しちゃ、んですか、ね。」








自分でも信じられないくらいに口が動く
つたないけれども、震えてるけれども








.









..









...









....









山「...ざけんな。」
「...へっ。」








気づけば山田さんは私の目の前に立っていて







山「っ...！」
「えっ、ちょっ、きゃ...。」







私の手からココアを奪い、机の上に置いて






.









..









...









____ドサッ









「....、！」
山「...怖い？」

「っ、いや、その...っ。」









私をソファの上に押し倒した







私の両手は、同じく山田さんの両手でがっちりホールドされていて

もちろん脚も山田さんが乗りかかっているから、身動きが取れない







.







そんな、強引な押し倒し方とは裏腹に








「やま...っ、ひっ....。」
山「...






苦しかったな...。
辛かった、な...。」







私の耳元、頰、首筋にかけてを
ツー...っと、長い人指し指でなぞる山田選手

その手つきは、とても優しくて優しくて








山「...泣き虫笑」
「っ、山田選手、がっ...うっ。」


山「俺がなに？笑」







涙が、止まらない







「っ、う、辛かった、ぅ、です...。」







どうして、こんなにこの人は優しいんだろう
私なんぞのために、こんなにしてくれるんだろう







「さかもっ、選手が...他の人と、キス、ひてる、のっ...見てっ、
辛かたっ、で、すっ....ぅっ。」

山「...よー言えました。」

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