終速2メートルの恋

#11 ページ11

Side 建山夏帆



建「ふぅ...。」



一通りインタビューを終えて、番記者たちがお昼休憩。



今から選手たちはウェートトレーニング。

この僅かな時間が、番記者の休憩時間である。




.




私が、球場の冷たいコンクリートの壁にもたれかかり、カフェオレを飲んでいる時



.



『休んでていいんすか？記者さんなのに。』
建「あっ....。」




奴は、私のカフェオレをひょいと奪い、



ごくっ、

と、一口飲む




『にが。これホンマにカフェオレ...？笑』
建「子供には分からないわよ。」



“ハハッ笑 子供、っすね笑笑”




そして奴は、本当に子供みたいにニカッと笑う

...ずっと、ずっとだ。3年前から、ずっとこう。






.





..






建「小林選手、ウェート行かなくていいんですか」
小林「だって建山さんに逢いたくて。」



...。



建「......？」
小林「嘘。 捕手は昼休憩も居残り練だったから、ウェートは夕方だけになったんすよ。」




はぁ...このプレイボーイ小林。




.




小林誠司(27)

侍JAPANでは正捕手を任され、バッティングでもチームを引っ張り、首位打者

甘いルックスで、女性からの人気も高い



(小鳥遊と小林が被るため、小林選手は”林”と表記させて頂きます。)




.



建「....そう。
じゃあ、私はまた取材があるから行くわ。」



私が、そう言ってすぐにその場を離れようとした時



.




..パシッ




林「待ってください。」
建「....なに。」




こいっつ...本当になんなんだ。

小林選手は、私の腕を掴んで離さない




.




林「....いかないで、ください。」
建「....はっ？」




こやつ....本当に、なんなんだ。



子供さゆえ？ それとも、私をからかってるだけ？




.




どっちにしたって、わたしには関係ない
こんなところ、誰かに見られたら溜まったもんじゃないわ。




私が、小林選手の手を振りほどこうとしたら...




.




林”なーんて。”

建「えっ...。」




するっ...と、いとも簡単に小林選手は手を離す
...どういう、つもり




林「からかってみたかっただけです。
お仕事、頑張ってくださいね。」




そう言って、小林選手はパタパタ...と食堂へと消えた



.




林”からかってみたかっただけです。”




建「腹立つ...。」




年上をからかって、何が楽しいんだか。

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