終速2メートルの恋

#21 ページ21

この試合のヒーロー、野手の小林選手に取材する順番





なん、だけど....





林「建山さんは...いないんすか。」
「えっ....あぁ。」




私の番記者証明書の会社名を見るなり、ガッカリした顔をする小林選手





.




「あ、いや、あの、....担当が違いまして！！
すみません！！私なんかでっ....。」

林「いや、俺も失礼なこと言いました...すみません。」




うぅ...本当は、建山さんに代わってって言われたんだよっ....小林選手。

でも...




.




建”誰にも、言わないでね。”




.





建山さんに釘刺されてるから、絶対に言えないんです。
交代したことは





.






..






「.....そうですか、では、バッティングフォームを変えたのではなく、タメを作るのを意識したということですか？」

林「....。」




ん？




「...小林選手？」
林「.....っ、あ、すんません、何でしたっけ？」





上の空

さっきからそんな感じだ、小林選手。





どうしたんだろう、やっぱ、建山さんに取材して欲しかったのかな...。




.




「建山さん、呼んできましょうか、今からでも担当変えれますよ？」




やっぱり、ちょっと悲しそうな小林選手を見ると、代わった方がいいんじゃないかと思う私。


建山さんに怒られることは間違いないけど、こんな小林選手見てらんないし...



.




林「...え、ホンマすか？」




ぱぁ...と、急に表情が明るくなって、頰が緩んでいるのを隠せてない小林選手




私なんかが言っていい事かは分かんないけど、
かわいい笑笑




.




「はい、多分、大丈夫です！(怒られるけど)
呼んできますね....。」




私がそう言って、建山さんのいるブルペンへ向かおうとしたとき...





.




...パシッ





え。





振り返ると、私は、小林選手に腕を掴まれてて





「こ、ばやし選手....？？」




小林選手は、何かを噛みしめるかのように複雑な顔で





うつむいて

ゆっくり

話す





林「....やっぱ、いいです。迷惑かけるんで。
それに....会わない方が、いいんです、多分。」





途切れ途切れに

苦虫を噛んだかのように

苦しそうに、話す





....どうしたんだろう？
わたしには、二人がどんな仲か、分からない





林「....俺がまだまだ、子供なだけですよ笑
深い意味はないんで。



...じゃあ。」

「あっ、ありがとうござました！！」






小林選手は、室内練習場へと走っていった

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