全部盗んで、怪盗さん【2j3j】

#かわい ページ45

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そう思っていたら渡会さんがこっち来て、とポツリと呟いた。いつもより声が低い。もしかして怒った？と不安になりながらも、大人しく隣の席に座る。渡会さんはじどーっとした目でこちらを見たあと、肩に頭を乗せてきた。




『わ、渡会さん？』

渡「…………なんか今日すっげー嫌だった」




渡会さんはこっちを見ずに、ぼーっとしながらそう言った。私は返す言葉が見つからずに黙っている。距離が近くて緊張してるっていうのもある。ふわふわの髪の毛が、シャツに当たってくすぐったい。

心臓がうるさくて、集中できない。




『…今日、友達連れてきたの、嫌でした？』

渡「…俺が会えるのはここ(カフェ)だけじゃん」

『渡会さん、それって……嫉妬？』



こくんと頷いたのが分かって、きゅーんと効果音がつきそうなくらいときめいた。可愛すぎる。私はくすくすと笑う。



『ふふ、かーわい』

渡「……情けねー」

『渡会さん、私と話せなくて寂しかった？』

渡「あ゛〜！！やめろ！！恥ずい！！」



渡会さんが勢いよく立ち上がる。その顔はリンゴみたいに真っ赤。それが余計面白くて笑う。雰囲気がだんだん明るくなっていく。暗いのは嫌だから、笑いに持っていけて良かった。

その後、風楽さんが帰ってきて渡会さんの機嫌が治ったことがわかるとこっそりウインクをくれた。



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