全部盗んで、怪盗さん【2j3j】

#一つだけ ページ34

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『めっっちゃ良かった！！渡会さん！連れてきてくれてありがとう！』

渡｢どーいたしまして！楽しんでくれて良かった｣



ライブが終わって、渡会さんと海の近くを散歩する。夕方と言えど夏休みだし、まだまだ家族連れでごった返してる。人の波に飲まれたらはぐれてしまうだろう。

渡会さん、足長いから1歩が大きくて、ついて行くのが少しだけ大変だな。そう思っていたら、大学生か何かのグループが一気に歩いてきた。




『渡会さん！待って！』




そう言って慌てて袖を掴む。渡会さんはハッとした様な顔をして、腕を引っ張ってくれた。

距離が近い。抱きしめられてるような感覚に一気に顔が熱くなる。




渡｢ごめんAちゃん！大丈夫？｣

『…はい』

渡｢Aちゃん、顔赤い？熱中症？｣



どっかの海の家で休もっか、と辺りをキョロキョロしている渡会さんをちらりと見る。腕は掴まれたまま、距離は近いままで話しているからずっと顔は赤いままだった。




渡｢あそこ空いてるな…Aちゃん、歩ける？｣

『歩け、ます。…渡会さん、』




お願い、わがまま一つだけ言わせて。





『はぐれたら嫌だから…手、掴んでて貰っていいですか』




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