興味が無いので。2【knmc】

62.退院 ページ19

You side

『ありがとうございました。』

仮退院当日。私は部屋の方を向いて一礼。

礼で始まり礼で終わる。

大人になったら面倒くさくなると思っていたが意外とそんなことなくて、楽しんでいる自分がいる。

「そろそろ行くよー」

お義母さんが呼んでいる。1つ返事をして、お世話になった看護師さんたちにお礼を言いながら病院を出る。

『退院しても週1で来なきゃいけないんだもんなぁ……』

愚痴りながら車に乗ると、待機していたお義父さんが笑う。

「ゆっくりカウンセリングして、ゆっくり治せばいいじゃないか。」

『……うん、そうだね』

私はあれから過呼吸症候群はマシになったが、不眠症を発症してしまった。原因はストレスなのか、とかは不明だが中々夜眠れなくなっている。実は今も寝不足が続いていて、身体的に結構辛い。

このままじゃ学校にも行けないだろう。

そして、精神的にも辛くなると判断したお義父さんとお義母さんがカウンセリングを申し込んでくれた。週に1回、少しだけ病院に行かなきゃ行けない。

『病院嫌いになりそう…』

「病院サボらなければ何も言わないからね」

1回くらいいいか、と思っていたけどお義母さんにはバレバレだったようだ。

『そうだ、お義母さん、お義父さん。




病院の、お金とか……ありがとう。感謝してます。』

照れくさくて、着ていたパーカーのフードを奥深く被る。

2人の笑い声が聞こえてきて、顔がどんどん赤くなっていく。

『わ、笑わないでよ！』

「んふふ、ごめんごめん。どういたしまして〜」

言い方が面白くて私も笑ってしまう。
3人の笑い声が車の中に響いた。

・
・
・

「…こんな時も刀也は来なかったなあ」

とお義父さんが言うから少しだけむずむずする。バレてないか焦るけど、なるべく平然を装うように演技をする。

『……そうだね』

すぐにLINEを開いて刀也に作戦は上手くいっているか連絡をする。直ぐに返信が来る。


剣《ばっちりです。待ってます。》


ありがとうスタンプを送って、早く言いたい気持ちを殺すように目を瞑った。

63.家族→←61.いい夜を

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す