姉愛［46］｡腹黒弟君｡ ページ46
涼羽side
早朝6時。
今日も仕事を全うすべく。
早過ぎる通学を果たす。
ガサガサァっ。
｢うわぁっ今日も凄い量……｣
靴箱を開けば瞬く間に飛び出す大量のそれ。
殆どの手紙が白い封筒。プラス赤いハートのシールが貼られている。あの子宛ての所謂恋文、ラブレターと言うやつ。
パっと見今日は13枚くらいかな。
｢ぐぬぬっ何も知らない癖手紙なんて！｣
あーイライラする!!
あの子のこと普段は避けてる癖に恋なんかしちゃって！ そりゃ確かにあの子は綺麗だし優しいし美人だけども！？ 見た目だけで言い寄るなんて生意気なんだよ狼共が!!
ラブレター1枚1枚に怨念を込め、
握り潰しゴミ箱に投げ入れる。
勿論跡形も残らないよう破いてから。
｢ふんっ！ Aちゃんに恋するなんて100年早いんだから！｣
｢私が何だって？｣
｢だから！ Aちゃんに恋を｣
をを。を………！？
この声はもしかしなくても。
｢おおおっおはよよようAちゃん！｣
｢おはよ。何でそんなにドモってるの｣
｢チっ変人野郎かよ｣
Aちゃんと弟君ーっ！？
なななな何でこんな早くに!!?
いつもはもう少し後に登校してるのに！
てか弟君！ 露骨に嫌な顔し過ぎだから！
｢私の靴箱漁って何してたの？｣
ギクっ。肩が揺れに揺れた。
｢別に何も？｣
｢……ふぅん｣
キツい眼光が僕を貫く。
いつも以上に脚がすくんだ。
完璧に疑ってるよねコレ！
ダラダラ冷や汗を垂れ流し危機的状況から必死に逃れようと頭を抱える。そんな無力な僕に思わぬ助け舟が出された。それはもう意外な助け舟。
｢お姉ちゃんの為に靴箱掃除してただけじゃない？｣
弟君と言う救世主が現れた。
何だかんだ言って助けてくれるんだね！
なんて優しい子なの涼ちゃん感激した!!
｢私の為に涼チビがかい？｣
｢うん。だってコイツお姉ちゃんの下僕なんでしょ？ 下僕だったらお姉ちゃんの靴箱を掃除するなんて当たり前の事だと思うよ｣
え。下僕？
え。僕が？
え。いつから！？
｢そうなのか｣
Aちゃん納得しちゃった！？
天然な一面に驚いていると、苛付き気味の低い声が容赦無く僕を刺してきた。
｢どうしたの？ 弟君｣
｢勘違いすんなよ。僕は唯お姉ちゃんにラブレターの存在を知られたくないから誤魔化してやっただけであって。お前を助けたくて助けたわけじゃ無いからな｣
……………わぁ。
随分とスレたね弟君。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1435人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よる。 | 作成日時：2016年9月21日 16時
