姉愛［34］｡隠蔽不要｡ ページ34
｢で？｣
｢ん？｣
んじゃないよクソマイク。
幼児のように苺パフェを目一杯頬張る目の前の金髪。私が顔を顰める間も咀嚼を止めないその態度にまた目許が歪む。
私が気付いてないとでも思ったのか？
純粋な表情を見るにそうなのだろう。
｢本当の用って何｣
｢ぶふぅーっ!!｣
何故吹いたひざし。
私の右隣で寝かけていた相澤さんも流石に引いたようで、唇を引き攣らせていた。
｢汚ねぇだろうが。早く拭け｣
｢ゲホっまた見透かさたぜ…！
さてはエスパーだなAっ!!｣
騒ぐひざしを横目にアイスを口に運んだ。
うん。値段の割にはまぁまぁ良い味だね。
｢そのだな…Aが中学卒業したら雄英に来てくれねぇかと思ってよぉ｣
雄英に？ 私が？
それ何年後の話だよ。
｢気が早ぇんじゃねえか？｣
｢そうだよ。私はまだ小学生で｣
｢それはちゃんと分かってる!! がっ！
どうしても雄英に入学してほしいんだ!!」
………？ 何でこんなに必死なんだ。
態々サングラスを額にずらし、しっかり目が見えるようにするひざし。いつに無く真剣なその眼差しに首を傾げたくなる。
私が雄英に行くことで何のメリットがあるのか。
｢……まぁ雄英には元々行くつもりだから｣
｢ホ、ホントか！？ Really！？｣
｢うん｣
癪に障るけど親父が親父だから。
No.2ヒーローの娘って事で推薦されるケースも充分にある。癪に障るけど。
私としては入試で仮装ヴィランを潰し回りたい。
絶品の爽快感を味わいたい。
｢Aなら推薦ぐらい来そうだがな｣
｢あーっ！ 確かにそうだな！｣
ポンっと手を叩いて納得する。
ひざしとの会話を瞬時に終わらせ私の方に顔を向ける相澤さん。穏やかに瞬きをしてから、アイスを見やる。
｢A、1口くれるか？｣
｢………？ うん。いいよ｣
珍しい。少し驚いたので反応が遅れた。
相澤さんいつもゼリーしか食べないのに。
不思議に思いながらも、適量のアイスをスプーンで掬い相澤さんの口まで運んだ。
｢ん。まぁまぁ美味ぇな｣
｢喫茶店にして中々だよね｣
｢だな。喫茶店にしては｣
2人で顔を見合わせて頷き合っていると。
｢嘘だろお前等！｣
驚愕したように叫ぶマイクの声が。
何でそんな驚いた顔してるの。
｢何でそんな無表情なんだ！？ 今間接Kissしたんだぜ!!?」
………………。
今日1呆れた。
｢キスでも何でもないよこんなの｣
｢唯同じスプーンで物食っただけだ｣
｢さ、冷めてるなお前等………｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よる。 | 作成日時：2016年9月21日 16時
