姉愛［33］｡温度差等｡ ページ33
出久と約束を交わして早8ヶ月。
別段楽しくもない日々はあっと言う間に過ぎて行った。誰かが言っていた楽しい一時は早く感じ苦しい時間は嫌に長く思える。
と言うのはホラだったらしいと分かった。
現に私は10歳。焦凍は5歳に成長した。
進級と共に行われたクラス替えに密かな期待を寄せていた私だったが、それは無慈悲にも踏みにじられた。文字通り儚く散った。
今年も涼チビと同じクラス。隣の席である。
柱時計に寄り掛かり、どうでもいい近況を浮かべた。
｢遅い｣
普段なら時間を無駄にするような事は
しないのだが、今回に至っては仕方ない。
｢ひざしは兎も角相澤さんは遅れるタイプじゃないのに｣
2人と待ち合わせをしているから。
が。集合時間から既に15分が経過している。
矢張り失敗だったな。
断っておけば良かった。
昨晩のひざしからの電話、一緒に出掛けないかと言うお誘い。当初は断るつもりだったが……。
『チョコケーキ食べ放題の所も行くんだぜ？』
甘い言葉にまんまと釣られてしまった。
くっ私もまだまだだ心が弱い。
しかしそれ程に私を惑わすチョコレートケーキと言う存在は最高だ。
だってとてつもなく美味しい。
｢Aー!! 悪い遅くなったなぁ！｣
｢…………離せひざし｣
やっと来た。
ってあれ？
｢相澤さんも一緒なんだ｣
｢Oh！ 2人より3人の方が楽しいだろ？｣
｢その内無理矢理連れて来られたであろう1人が凄くゲっソリしてるけどね｣
うとうとしている相澤さんを見やり言う。
もう半分寝てるんじゃないのコレ。
｢起きろ消太ー！ 今日は俺達の
雄英卒業お祝いPartyだぞぉ！？｣
相澤さんの肩を前後に激しく揺さぶるひざし。
真っ白な顔でいいように揺れる相澤さん。
止めてあげてほしい。
｢…もうヒーロー活動とかしてるの？｣
｢ん？ おぉYES！ 毎週金曜深夜に
ラジオ持つことになったんだぜ俺!!｣
｢ふぅん。せいぜい事故らないようにね｣
｢お先真っ暗にするような事言うなよ!!?｣
無視。
｢相澤さんは？｣
｢ふぁ………あぁ。俺はボチボチだ。
何にしろ合理的に進めていってる」
｢だよね。相澤さんらしいや｣
｢Aの方はどうなんだ？｣
｢別段変わった事は無いよ｣
｢……………無理はするなよ｣
｢ありがとう。善処するよ｣
投げやりに返すと頭を撫でられた。
クシャクシャっと。
｢何で撫でるの？｣
｢…………何となく｣
｢俺か空気だゼェ｣
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作者名：よる。 | 作成日時：2016年9月21日 16時
