姉さん、愛してる。Ⅰ (ページ24)

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姉愛［24］｡絶対的圧｡ページ24

しょーとside

｢痛いよぉー！痛い痛い～!!」

｢大丈夫！？すぐ救急車を呼ぶわ！」

泣きじゃくる角の生えた男の子とあわあわする先生。

僕のせいで腕を火傷させちゃった。
真っ赤になってとっても痛そうなの。

僕の炎のせいであの子の腕が………。

ちゃんとごめんなさいしなくちゃ。

｢ご、ごめんなさい。大丈夫…？｣

｢ぎゃあっ近寄るな!!!｣

バシンっ。

｢っ！？｣

ほっぺたがヒリヒリした。

殴られた？どうしてなの？

僕ごめんなさいしただけなのにっ。

｢また火を使う気だな！｣

｢ち、違うよそんな事｣

｢嘘つけ！来るな化け物!!｣

僕のお顔は動かなくなった。

化け物。化け物。化け物…？

ぐるぐるって頭の中で何回も繰り返される。
その3文字が、ずっと。僕を変にしていく。

｢化け物化け物化け物！｣

ずっと。バケモノって。

｢化けも｣
｢おい｣

｢……！｣

やっとお顔が動いた。

｢弟に何をしている｣

｢とっ轟さん！？｣

驚く先生と固まっちゃう皆。

｢そこの角の生えた君｣

｢ひっ…な、何だよ！｣

僕を化け物だって殴った男の子を睨みつけるねーね。そのお顔は僕が見てきたお顔の中で、今までで一番怒っていた。

いつも綺麗で大好きなねーねのお目目が今は真っ黒で。

光を無くしちゃったみたいに曇ってるの。

｢何故焦凍の左頬が赤く腫れている｣

｢し、知らねぇのそんなの！｣

｢なら何故。君の右手も少し赤いんだ。君がその右手で焦凍の頬を殴ったからじゃないのかい｣

うっと黙り込む男の子。

ねーねはその子を強く睨んだまま。

｢私の弟に手を出すなよ｣

ゾっ──！

いっぱいの冷気と威圧感が僕達を震わした。

初めてねーねを、怖いと思ったの。
個性なんて使ってないのに。
お部屋の中が雪山みたいに寒くて。

｢帰ろう。焦凍｣

｢ねーね………｣

僕を抱き上げるねーね。

何でそんなに悲しそうな目をするの？

そんな目しないで。お願いだよねーね。

｢今日はもう帰らせて貰う。
クソ親父にはくれぐれも連絡しないでね｣

｢え！？は、はい………!!｣

苦しそうなねーね。

僕を強く抱き締めて悲しそうなお目目のまま。
幼稚園の門を抜ける。とぼとぼする。

ねぇ、どこを見てるのか分かんないよ。

｢ごめんなさいねーね……｣

｢焦凍は悪くないよ｣

｢でも僕が！｣

｢いいから｣

｢…………っ｣

何も言わないでってお顔に書いてある。

だから弱虫な僕は、黙って、泣いて。
お顔を俯かせることしか出来なかった。