姉愛［22］｡滑稽低人｡ ページ22
焦凍を幼稚園へ預け今は算数の授業中。
｢今日は昨日の復習からでーす！｣
｢ふぁ……｣
眠い。欠伸しか出ない。
何だこの糞簡単な授業は。
エリート小学校って言っても大した事ないんだな。数ヶ月ここに通って分かった事実。全部が全部価値の無い石コロみたいなモノだ。
本当につまらない。足りない。
｢ねぇねぇAちゃん」
ツンツン。
背中を啄かれた。
｢ココ教えてくれない？ 涼ちゃん分からなくて｣
私は不幸だと改めて思った。
後ろの席がコイツだなんて。
｢嫌だ｣
｢えーおケチー！ あっもしや分からないとか？｣
無視。
｢おケチおケチ〜！ Aちゃんのドケチ〜！」
…無視。
｢ケチケチケチチケぶほぁ!!?｣
ガシャァンっ!!!
｢な、何……！？ どうしたの！？｣
｢風磨君が椅子ごと吹っ飛んじゃった！｣
｢風磨の奴後頭部打った!!｣
涼チビの果てしないウザさに耐切れず、気付けば右肘で顔面に1発入れていた。
調子に乗るからそうなる。
気絶する涼チビを中心に騒ぎ立てる先生とクラスの奴等を横目に流し、腰を曲げ眠りにつこうとした。
けれど、出来なくなった。
｢俺見たぜ先生！ 轟が風磨を殴ったんだ！｣
ピクっ。
私に向かって指を差し告発する男子生徒。
その眼には私に対する負の感情が込められていて。他の生徒達もまるで腫れ物でも見るように私をキツく刺してきた。
………………ふぅん。いい度胸だ。
｢ま、まぁ本当なの！？｣
大方いつも済まし顔の私が叱られている姿を見たいとかそんなんだろう。
私はこの教室にとって異端者も同然。
まぁ、それは解っているし。
好かれたくもないので構わないが。
｢……………滑稽だね｣
でもね君達。
私はそこまで低い人間では無いんだよ。
｢ねぇ先生｣
｢なっ何かしら？｣
私が少し声を低くして言えば。
分かりやすく怯える女教師。
｢私のこと叱るのかい｣
軽く威圧して鋭い目で射貫く。
｢ひいぃ叱りません叱りません！
すみませんでした轟様ーーーっ!!!｣
女教師だけでなく他の生徒達までもが、私に怯え震える。ガタガタと顔を真っ青に凍てつかせ。
まるで悪魔でも見るかのように。
私と言う人間に怖気づく。
｢ふん……｣
もう面倒だ。
呆れて物も言えない。
屋上にでも行こう。
ゆっくり腰を上げ、いぜん気絶したままの涼チビを一目見てから。
氷のように冷めきった教室を後にした。
｢やっぱり私は、暖かくなんて無い………｣
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作者名：よる。 | 作成日時：2016年9月21日 16時
