姉愛［17］｡風磨涼羽｡ ページ17
涼ちゃんside
涼ちゃんのクラスには不思議な女の子がいる。
普通とは違う何かがあると思ってるんだ。
名前は轟Aちゃん。
運動神経抜群で頭も良い。
でも、いつも1人でいる。
何でかなって疑問を引きづっていたけど、Aちゃんを観察するしている内に分かった。あの子は他人に興味が無いんだなって。
どうでも。いいんだって。
あの子の頭の中には、此処に居る僕等はまるで存在してないんだ。
でも。時々あの子が見せる柔らかな表情。
誰かを想うような。深みのある瞳。
ずっと気になって仕方がなかった。
だから声をかけた。
｢…思いっ切り殴られた｣
Aちゃんには二度と話しかけるなって言われたけど、涼ちゃんは諦めないから！
絶対友達になる！
リトライだ!! まずは1回目！
｢Aちゃーん！｣
積極的に行かなきゃ！
｢Aちゃん聞いて！ 涼ちゃん昨日こーんな大きいドーナツ食べたんだよ！ いいでしょ！｣
｢……｣
2回目！
｢見てこれ！ Aちゃん描いてみたんだ！｣
｢……｣
3回目！
｢卵焼きいる？ すっごく美味しいよ！｣
｢……｣
だ、駄目だあぁ……。
何やっても無視される！
しかも凄い無表情!!
｢涼ちゃんのこと嫌いなのかな…｣
あっと言う間に放課後になった。
でも明日も頑張らなくちゃ。
粘ってくじけなきゃ涼ちゃんと
お友達になりたいって思うはず！
こんなに楽しい日は久し振りだ。
明るい微笑みを浮かべたその時。
ドカっ。
｢痛っ｣
｢いって｣
小さなモフモフとぶつかった。
｢君ごめん！ 怪我は｣
｢何俺にぶつかってんだ!!｣
え。な、何この子。
｢いてぇじゃねーかクソが！｣
口わっる！？ 顔怖!!
しかも目付きめちゃ悪いっ！
｢チっビビりかよ｣
｢なっビビりじゃないし！｣
｢うっせぇビビり！｣
｢違うってば!!｣
不良少年としょうもない言い合いを続ける。
一言ガツンと言ってやろうと大きく息を吸いかけた。吸わなかったのは、黒い影が落ちて来たから。
｢坊や達可愛いね｣
｢あ？ 誰だよお前｣
ホント。誰この人。
｢おじさんとお友達になってほしいな｣
｢誰がなるか死ね！」
｢涼ちゃんも嫌だし！｣
2人して牙を剥く。
すると｢悲しいなぁ｣とか言って、顰め顔で迫って来るおじさん。
全然悲しそうじゃないその雲がかった小さい眼球は僕達を震わせるに充分だった。危険信号が鳴り響く。
逃げなきゃ危な──！
ドスっ!!!
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作者名：よる。 | 作成日時：2016年9月21日 16時
