姉愛［16］｡水色馬鹿｡ ページ16
先日のあの一件以来。
クソ親父は焦凍に手を出さなくなった。けれどそれは焦凍にまだ個性が発言していないから。
それだけ。アイツの優しさなんかでは無い。
焦凍の個性が出た暁には私のように……。
｢はぁ｣
そうだ。
突然だけど。
学校ってつまらないよね。
クソ親父の命令通り超エリート小学校的な物に入学したはいいが。
｢クズばっかり｣
まず殆どが見下した目をしているし。
服や身に付けている装飾品は無駄に高そう。
普通の着たらどうなの。
お前等指輪要らないだろ。
会話の内容も金や高価な物の自慢話ばかり。
それを近くで聞かされる私の身にもなって欲しいものだ。
まぁ強引に関わってこないだけいいか。
そう踏んで安心していた。が。
｢ねぇねぇ轟さん！｣
近頃この阿呆が鬱陶しい。
｢轟さーん!!｣
無視を決め込んでいるけど流石にしつこい。
どうやらこの阿呆は、私の中の苛々を膨張させるのが上手いらしいのだ。
｢とっどっろっきっさーん!!!｣
それより焦凍、大丈夫かな。
クソ親父に何もされてなければいいけど…。
｢とぉどぉろっ｣
｢煩い黙れ｣
｢ぐふぇっ!!?｣
右拳が本能的に動いてしまった。
いつの間にやら叫ぶ阿呆の腹にめり込んでいた自分の右手。面倒臭い事になったなと肩を落とし、尻餅をついて喚く水色髪を見下ろした。
｢殴るなんて酷い！ 涼ちゃん泣くよ！？｣
……こんなウザイ奴居たっけ。
｢君ウザイ。私の前から消えて｣
｢うっ！？ Aちゃん毒舌！｣
｢は？ 名前で呼ばないでくれる？｣
｢ごごごごめんなさいぃー!!!｣
なんて素早い土下座だ。
｢…で？｣
｢へっ？｣
｢へっじゃないよ。
私に何か用があるんでしょ｣
そうじゃなきゃ唯の馬鹿だろう。
｢あっそうだった！ ねぇ轟さん！
涼ちゃんとお友達になって欲し─」
｢嫌だ。無理。蕁麻疹出る。無理｣
｢せめて最後まで言わせて!!?｣
一々叫ばないでよ。声でかい。
｢涼ちゃんお友達1人もいないの！ お願い！」
右目を閉じ上目遣いで私を見つめる阿呆。
可愛らしくお願いしているつもりなんだろう。
残念ながらちっとも萌えないね。
｢ぼっちなんだ。君。惨めだね｣
｢と、轟さんだってぼっちじゃん！｣
…………。
｢誰がぼっちだって？｣
｢だから轟さ──」
｢覚悟はいいかい｣
｢え、待っ涼ちゃんまだ死にたくない!!!｣
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作者名：よる。 | 作成日時：2016年9月21日 16時
