姉愛［222］｡乱入者共｡ ページ22
no-side
つい数十分前。
まだAが男化しておらず、どころか梛とも合流していなかった過去の時間。着々と忍び寄る黒い影に気付きもしない出久、グラントリノ、騰亜は揃って新幹線に乗っていた。
窓際に出久、その隣に騰亜。
騰亜の膝上にグラントリノ。
｢………着く頃には夜やね｣
｢それがいいんだろ騰亜。夜は小競り合いやら酔っ払いやら何やら増えて楽しい！｣
｢僕は夜好きじゃないもん…。なんか怖い｣
｢お前今年で18だァろ何言ってんだ！｣
なんてやり取りをする家族のような2人を、出久はひっそりと苦笑いで見つめていた。
｢………｣
ふっと真剣な表情に切り変わる。
(飯田君…………)
スマホ片手に不安げな瞳で夕空を見上げた。
不安げな出久の心の内を色濃く表すように流れるノロい浮雲と、寒色だらけ。
｢！｣
ピクリっ。
ふと騰亜が眉をひくつかせた。
｢っ伏せて！｣
｢え──｣
ドガァァンっ!!!
｢うっわぁ！？｣
軽々と車体を突き破り背中から倒れ込んだヒーローらしき男。
飛び散る塵と煙を避けるためか。はたまた突然の異様な状況による動揺のためか、客達は席を立ち目を丸くした。
とは反対に咄嗟に出久とグラントリノを庇った騰亜は、苦々しそうに顔を顰める。
｢っんだあいつ…!!｣
｢何でヒーローが！？｣
｢キャアアアア!!!｣
慌てふためく人々。
訪れた不穏と不安を更に煽るようにして現れたのは、脳みそ丸出しの──
｢の、脳無!!?｣
声を荒らげた出久の頬に1粒の汗が伝った。
不味い。どうしてこんな所に。
焦りと疑問が絡まり汚れる。
間も無く、2つの影が飛び出した。
｢小僧！ 座ってろ！｣
｢動かないでね出久君｣
｢グラントリノ！？ 騰亜さん!!?｣
恐れもせず脳無目掛けて突っ込んで行く2人。
ふんわりとした雰囲気を常に漂わせていたあの騰亜が。嘘のように目を尖らせ俊敏に動き回っている光景に、出久は少なからず困惑した。
構わないと言った感じで丸眼鏡を投げ捨て脳無の腹に入り込む騰亜。
｢退け｣
パァン!!!
言葉と同時に、脳無の腹が一瞬で
液体状と化しダラダラと溶け落ちた。
騰亜が両手で触れた、腹が。
｢…………ちっ。汚ぇな｣
｢へっ？｣
ドスの効いた低い声で舌打ちを落とした別人のような騰亜は、鋭い目付きのまま飛び退き｢グラントリノ！｣と叫ぶ。
瞬時に飛び込むグラントリノ。
｢任せろ!!｣
ズドっっっ!!!
そのまま、脳無ごと夜の街に消えた。
｢っ……グラントリノォ!!｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1596人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
よる。(プロフ) - 鈴里風夢さん» コメントありがとうございます！作品を好きになって貰えてとっても嬉しいです(`・ω・´)これからも頑張ります！続編行きますよー！！！ (2017年10月20日 18時) (
レス) id: 01ec13c248 (このIDを非表示/違反報告)
鈴里風夢(プロフ) - すごくおもしろいです！！この作品大好きです！続編楽しみに待ってます！！ (2017年10月17日 1時) (レス) id: 442db9e64e (このIDを非表示/違反報告)
よる。(プロフ) - りんごさん» り、りんごさん…！いつも熱い応援ありがとうございます(´；ω；`) 遂に６ですね…早いものです… これからも頑張ります！私もりんごさん大好きですよ！！ (2017年10月13日 13時) (レス) id: 01ec13c248 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - あわわわわ、遂に６になるのですね。凄いです・・・！よる。さん、愛してます←ぇ ごめんなさい、大好きです。はい。これからも読み続けます！では！ (2017年10月13日 1時) (レス) id: 1a1ba15a63 (このIDを非表示/違反報告)
よる。(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます！この調子で頑張っていきます！物凄い亀更新ですぜひぜひ待ってやって下さい… 頑張りますー！！ (2017年10月12日 20時) (レス) id: 01ec13c248 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よる。 | 作成日時：2017年7月24日 16時
