姉愛［203］｡痛み辛さ｡ ページ3
翌日、休日の訪れ。
久々にゆっくり休めるかなぁと思っていた。
だが、1本の電話により私の平穏は崩れ落ちた。
｢天晴……｣
気が気でいられなかった。天晴の母から聞いてしまった内容に、私は鼓動を早めることしか出来なかった。焦りを顔には出さず最低限の荷物を整え廊下を小走りで進む。
何で彼のようなヒーローが狙われたんだ。
何処が悪かった？ あんなに立派なヒーローなのに。
『Aちゃん、天晴がヒーロー殺しに…っ』
何故だ。
『Aさん……もう、兄さんはもう、ヒーローとして活動出来ないって…っもう動けないって………！』
天哉の、あの絶望したような声が忘れられない。
煌めきを失った彼の瞳が容易に想像出来た。
思い浮かべたくもないのに。あの子のそんな瞳。
｢あっA姉｣
｢！ ………焦凍｣
バっタリ。
｢A姉も何処かにお出掛け？｣
｢…うんまぁ。焦凍は？｣
｢俺は、お母さんに会いに｣
ニコっと綺麗に微笑み迷い無く言った焦凍。
沈んでいた心が、少しだけ浄化された気がした。
……そうか。母さんに。
｢頑張って来てね｣
｢っうん！｣
私も、頑張らなくちゃ。
ちゃんと天晴のこと。
感情でぐちゃぐちゃになるだけじゃなくて、しっかり向き合って落ち着いて聞いてあげなきゃ。
それが私に出来る些細な事なら。何でも。
｢…………｣
──保須総合病院。
白い外壁と大病院らしい佇まいが、私を出迎えた。
道中フルーツ専門店で購入したバスケット入の色鮮やかな果物達に、何となく指を滑らせる。
緊張が募ってゆく。
あっと言う間に病室前だ。
見上げれば、飯田天晴のネームプレート。
バクバクする。デジャヴを感じた。
以前にも、こんな事があった。
あの時は誰かに背中を押されて。
あれ……誰だっけ？
確か中性的な声、子供？
あれ、私何で記憶が──
｢Aちゃん…？｣
｢！｣
バっ。
先程までの思考を投げ捨て、弱ってしまった拙い声に振り返った。すぐに、｢こんにちわ｣と会釈する天晴のお母さんが目に入って。
私も軽く頭を下げ応える。
すると、力なく笑う彼女。
胸がギリっと痛んだ。
｢来てくれたのね。嬉しいわ｣
｢……はい。あの、天晴は｣
｢今は寝ているの。そっと入りましょう｣
申し訳なさそうに言って、静かに戸を開け病室に入って行く。慌ててその背中を追った。
息が詰まった。
｢！｣
一瞬、天晴だと分からなかった。
胸が痛い。痛くて痛くて辛い。
｢……ごめんね｣
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よる。(プロフ) - 鈴里風夢さん» コメントありがとうございます！作品を好きになって貰えてとっても嬉しいです(`・ω・´)これからも頑張ります！続編行きますよー！！！ (2017年10月20日 18時) (
レス) id: 01ec13c248 (このIDを非表示/違反報告)
鈴里風夢(プロフ) - すごくおもしろいです！！この作品大好きです！続編楽しみに待ってます！！ (2017年10月17日 1時) (レス) id: 442db9e64e (このIDを非表示/違反報告)
よる。(プロフ) - りんごさん» り、りんごさん…！いつも熱い応援ありがとうございます(´；ω；`) 遂に６ですね…早いものです… これからも頑張ります！私もりんごさん大好きですよ！！ (2017年10月13日 13時) (レス) id: 01ec13c248 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - あわわわわ、遂に６になるのですね。凄いです・・・！よる。さん、愛してます←ぇ ごめんなさい、大好きです。はい。これからも読み続けます！では！ (2017年10月13日 1時) (レス) id: 1a1ba15a63 (このIDを非表示/違反報告)
よる。(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます！この調子で頑張っていきます！物凄い亀更新ですぜひぜひ待ってやって下さい… 頑張りますー！！ (2017年10月12日 20時) (レス) id: 01ec13c248 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年7月24日 16時
