姉愛［211］｡すまない｡ ページ11
｢……｣
｢……｣
何分経っただろう。
親父を追って行けば客間に着いていて、木造りの古風な机を2人で囲み座布団に膝を置く。そうして無言のまま何分間。
何がしたいんだろうかこの人はと。
急かすように、親父の無表情を見上げた。
｢話って何なの｣
｢……………嗚呼｣
観念したみたいに目を閉じる親父。
コイツこんな顔もするんだ。
なんて、新鮮な光景に少しばかり驚いた。
眉間に寄せられた皺。
ムっと閉じられた口許。
冷たいエメラルドの瞳。
それが普通の貴方な筈。
けれど今私の目の前にいるコイツは、まるで。
｢すまなかった。A｣
｢!!?｣
まるで、1人の“父親”のような。
｢……止めてよ。今更｣
机上に額を擦り付けて謝罪をする親父を見もせず、静かに言いやった。一言一言を強調させて衝撃を悟らせないよう取り繕う。
今更、謝られても。
私にどうして欲しいのさ。
それに貴方は、そんな人じゃ。
そんなに真っ直ぐな人じゃ。
人に頭を下げるような人じゃ。
私を道具ではなく娘として見るような優しい人じゃ、無いでしょ。
｢…………。こんな安い謝罪だけでお前の怒りや鬱憤が晴らされるとは思っていない。許されるとは思っていない。だが、頼む言わせてくれ｣
｢頼まないでよ。今更遅い｣
｢……………｣
端正な眼差し。
似合わないような、
間違ったような、
そんな目を私に向けるな。
そんな目、どうして貴方が出来るの。
｢…っ何なの｣
｢A｣
ピク。反応する耳。
目は合わせたくなかった。
｢今から話す昔話を聞いて欲しい｣
｢…………、やだ｣
｢約16年前の事だ。お前がまだ4歳程の時｣
私の意見聞けよ。
何なの、ホント。
何、自分の幼少の話なんて興味無いし自分で知ってるからいいよ。話さなくていいよ。
だから早くどっか行け。苦しいから。
｢その時はまだ、何もおかしくは無かった。何も狂っては無く俺達は普通の家庭を作っていた筈だった｣
何ほざいてんの。
｢ふざけるな。お前はずっと母さんと私を｣
｢違う。狂ってしまったのはあの日を境にだ｣
………あの日って。
｢あの日、お前はいつものようにアイツと手を繋いで公園へ出掛けて行った｣
アイツとは、母さんの事だろう。
親父の目許に雲がかかった理由について、私は絶対に分からない。分かるはずが無い。
分かりたいとも思わなかった。
｢だが……帰宅したお前を見て絶望した｣
…………。
どうして。
｢何もかもが変わり果てていたからだ｣
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よる。(プロフ) - 鈴里風夢さん» コメントありがとうございます！作品を好きになって貰えてとっても嬉しいです(`・ω・´)これからも頑張ります！続編行きますよー！！！ (2017年10月20日 18時) (
レス) id: 01ec13c248 (このIDを非表示/違反報告)
鈴里風夢(プロフ) - すごくおもしろいです！！この作品大好きです！続編楽しみに待ってます！！ (2017年10月17日 1時) (レス) id: 442db9e64e (このIDを非表示/違反報告)
よる。(プロフ) - りんごさん» り、りんごさん…！いつも熱い応援ありがとうございます(´；ω；`) 遂に６ですね…早いものです… これからも頑張ります！私もりんごさん大好きですよ！！ (2017年10月13日 13時) (レス) id: 01ec13c248 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - あわわわわ、遂に６になるのですね。凄いです・・・！よる。さん、愛してます←ぇ ごめんなさい、大好きです。はい。これからも読み続けます！では！ (2017年10月13日 1時) (レス) id: 1a1ba15a63 (このIDを非表示/違反報告)
よる。(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます！この調子で頑張っていきます！物凄い亀更新ですぜひぜひ待ってやって下さい… 頑張りますー！！ (2017年10月12日 20時) (レス) id: 01ec13c248 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年7月24日 16時
