音楽少年は…。3【ナカノヒトゲノム】［男主］ (ページ20)

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GAME 09 KEEP TRYIN' 10 ページ20

ザクロくんと別れてからしばらくして、隣を歩くカイコクさんがふと口を開いた。

鬼ヶ崎「なぁ、“やっと1人になれた”ってどういうことでェ？」

いつもの飄々とした笑顔ではなく、真剣な顔でそう尋ねたカイコクさん。

朔夜『そうですねー…。カイコクさんこそ“顎で使われるのはもうごめん”ってどういうことですか？』

鬼ヶ崎「質問を質問で返すな。」

呆れたような顔をしながら睨まれた。

朔夜『ふふっ、まぁ、そのままの意味ですよ。何をするにも誰かが一緒、一人の時間なんて夜中の1時すぎからしか無い。そんな生活疲れるでしょ？』

鬼ヶ崎「そうか…。」

朔夜『あれ、俺の質問には答えてくれないんですね。』

そう言って、カイコクさんの顔を見上げて笑う。

鬼ヶ崎「……俺も似たようなもんでぃ。誰かに言われた通りはもう嫌でぃ。」

目を逸らしながら、そう答えてくれた。

朔夜『…雨、止みますかね。』

鬼ヶ崎「どうだろうねぇ。ずいぶんと、本降りになっちまたから。」

朔夜『…』

鬼ヶ崎「…」

しばらく無言のまま歩き続け、ゲノムタワーへと戻った。

朔夜『傘、ありがとうございました。』

鬼ヶ崎「お易い御用でェ」

俺たちはそう言って別れた。