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道枝side
あっという間に迎えた結婚発表の日。
昨日の夜からずっと
謙杜に批判行ったらどうしよう
メンバーのみんなにも批判行ったらどうしよう
ってネガティブなこと考えてばっかりで、
たくさん愛してくれる謙杜がいて
あんなに応援してくれる家族やメンバー、事務所の方、スタッフさんがいるのに
信じきれてない自分が弱くて嫌になりそう。
長尾「ん、大丈夫...」
朝、家を出る前に抱きしめてくれた謙杜の手は少し震えてて、いつもより冷たくて
不安な気持ちと緊張がこれでもかと伝わってきた。
でも謙杜は一切弱音を吐かへん。
俺がこんなんやから余計不安なんかもしれんし
我慢させてもうてるんかもしれん....
マネージャーさんの車に乗り込んで
気持ちを落ち着かせるかのように窓の外を眺める謙杜の手を握る
長尾「っ....」
道枝「大丈夫....」
なにが大丈夫やねん、ってぐらい俺の声は震えてて情けない。
でもありがとうって笑った謙杜の表情はさっきより柔らかくて少しホッとする。
事務所についてそのまま社長室に向かうといつものようにおはようって迎えられた
社長「いや〜いよいよだね〜」
なんて呑気に笑う社長。
俺らは不安でいっぱいでそんな場合やあらへん言うのに。
社長「君たちが信じるべきものは世間の声でも、ファンの人の反応でもなくて
お互いの気持ちということだけは忘れないように」
おめでたい日にこれ以上暗い顔してから怒るよって言われて
ぎこちない笑顔を貼り付けた。
マネージャー「10時になったらここをクリックしてな。そしたら2人が用意した文章と写真がファンクラブに載るから」
道枝「はいっ...」
マネージャーさんが用意してくれたパソコンには既に文書と写真が掲載されてて
ボタンひとつでそれが世の中に発信されて
あっという間にそれがファンの人、報道、一般の人に広がって
ずっとずっと秘密にしていた俺たちの関係が知られることになる。
長尾「大丈夫、大丈夫。駿は俺とメンバーのみんなのこと信じてたらいいから」
道枝「うん...」
いつだって謙杜は強い。
少し不安げだった謙杜はもうどこにもおらん。
真っ直ぐな瞳に揺らぎはなくて
そっと重ねられた手が頼もしい。
謙杜の強さと自分の弱さに少し泣きそうになった。
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作者名：みるく | 作成日時：2024年3月9日 10時
