【2434】もちもち霊媒事務所【mcmc】 (ページ7)

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「あ、アタシになんか用？」

先程のこともあり椎名の声は少し震えていた。
剣持はそんな椎名の様子を見てクスッと笑った後続けた。

「そんなに緊張しなくてもいいですよ。僕と貴方はほとんど同業者なので」

同業者、と剣持に言われて椎名はハッと気づいた。
一連の流れの情報量が多すぎて椎名の脳で処理できなかったが、剣持は怪異を祓っていた。つまり…

「…剣持って、アレが視えるん！？」

「ええまぁ、そしてさっきから思っていたが呼び捨て…」

「え？剣持アタシより年下やろ？」

「学年は僕のが上だ！ってそうじゃなくて…」

話が脱線したが剣持はすぐ話を戻して続けた。

「椎名唯華。年齢17歳、高校一年生。職業は霊媒師。間違いありませんね？」

「いや、なんでそんなこと知ってんのこわ…」

剣持による急な個人情報暴露に椎名は背筋が凍り剣持を軽蔑の目で見つめた。

「同業者なら調べるのは当然でしょう？それに、当たりの人は少ないんですから。って、それより！さっきのはなんなんですか！？」

霊媒師を語る人物は少なくないが実際に視える人は本当に一握り程度しか居ない。
剣持も椎名の噂は聞いていて、事前に椎名のことを調べていたし、実際に会って本物だと確信もついた。
なのに、椎名は怪異にあっさり取り込まれそうになっていたことに剣持は驚きを隠せなかった。

「貴方の霊力ならあれくらい余裕でしょう！なんで喰われそうになってるんですか！？今までどうやって生きてきたんです！？」

「そ、そんなこと言われたって…アタシ基本簡単な依頼しか受けんし、今まで生きてきたのも偶然が重なった結果というか…」

椎名のその言葉を聞いて、剣持は大きく溜め息を吐いた。

「…強運ってよく言われません？」

「え、なんで分かったん」

椎名の更なる言葉に剣持はもう一度溜め息を吐いた。

「(まぁ…運も実力の内って言うしな)」

それでも、剣持は椎名を警戒するような目で見ていた。

今はまだ全てを解放できていないが、椎名の霊力は異常だということに、剣持は気づいていた。