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__書斎にて
「…」
「…」
睨み合う剣持と死神。
互いに一歩も退く気はなかった。
「退いてくれません?お前に構っている暇ねぇんだよ」
「アハハ、急に豹変するじゃん。コワーイ」
煽っている口調に剣持は思わず舌打ちを漏らした。
早く椎名の元へ戻らなくてはいけないというのに最悪の刺客。
剣持のストレスは限界を迎えていた。
「…殺していいよな?」
突如剣持は纏うオーラをどす黒くし、刀で死神の首を狙った。
_勿論、その攻撃は避けられたが。
「殺意高いなーもー、平和にいこうよー剣持センパイ?」
ニコニコと笑う死神に剣持はピクリと反応し、口を開いた。
「さっきから思ってたけど…」
足にぐっと力を入れ、死神の元へ一気に近づき刀を降り被る。
「お前キャラ変わりすぎじゃねえか!!!誰だよ!!!」
「こっちが本物ですー!!君と同じでキャラ作ってたんだよ!!ああ!?」
ギャーギャーと痴話喧嘩をしながら闘う二人だった。
…そしてその二人を見る影は、誰も気がつかなかった。
__リビングにて
「…茜、これだけは勘違いせんといてほしいんやけど、アタシは茜を祓いに来た訳ちゃうからな」
ぱっと茜が顔を上げて困惑の表情で椎名を見つめた。
椎名は茜の目をしっかり見ながら続けた。
「アタシは茜を成仏させる。茜が悔いなくあっちに行けるようにする。だから茜、一緒に…」
「…唯華、」
茜は大きな目を揺らがせていて、その目には水の膜が張っていた。
唯華なら、唯華となら…
茜に芽生えた一筋の光。
ずっとどこかで解放を求めていた少女を照らす光。
…しかし、現実はそう甘くはなかった。
ザシュ、と肉の抉れる音。
茜と椎名の目に映る、真っ赤な鮮血。
「…は、?」
椎名は思わず、そう言葉を溢した。
肩に響く激痛。
椎名は、肩を貫かれていた。
力に飢えた、悪魔に。
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もめん - えのきんきんさん» ありがとうございます! (2022年4月25日 0時) (レス) id: 0e89e6a4c8 (このIDを非表示/違反報告)
えのきんきん(プロフ) - 最高です……!! (2022年4月23日 22時) (レス) @page33 id: 4af4b18def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もめん | 作成日時:2022年2月20日 1時