【2434】もちもち霊媒事務所【mcmc】 (ページ34)

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ギィ、と音を立てて扉を開く。

少し埃っぽいが、普通の洋館。
一般人であれば、雰囲気が出てる、などという感想だろう。

…一般人であれば。

「っ…なんなん、ここ」

椎名は扉を開けた瞬間に顔を歪め口を手で覆った。

気味の悪い気配。黒くて、ドロドロするような、言葉には言い表せない気配に椎名は吐き気を覚えていた。

そんな椎名を見て剣持は椎名を庇うようにスッと前に出た。

椎名は霊力が強い為、その分当てられやすいのか剣持は椎名よりも調子は良さそうだった。

「椎名、無理はするなよ」

「…当たり前やろ」

そう言いニヤリと笑う椎名に剣持はいつも通りだな、と安心した。

「はー、こんなキモいのずっと浴びてられんわ」

椎名はそう言ってポケットから札を出して術式を唱え始めた。

椎名を中心にキラキラとピンクのオーラが漂う。
そのオーラが椎名を包み込むと、一気に散った。

オーラが消え、椎名が姿を現すと先程よりも顔色が良くなっていた。
今の術は結界を貼るもので、まだ少し顔色が悪いが、徐々に良くなっていくだろう。

一方剣持は、椎名の術に目を奪われていた。

一般人には見ることが出来ないが、椎名の纏うオーラはとても幻想的なものだ。

霊力が強いことを主張するかのようにキラキラと輝くオーラ。

…目を奪われていたから。だから少し、反応が遅れた。

「っえ…椎名！」

突然感じとった殺意に驚きと焦りを含めた声で剣持は椎名を突き飛ばした。

椎名の悲鳴を聞き、安否を確かめようとしたところで、剣持はソレを視認した。

大きな鎌を持った西城茜…否、茜の姿をした＿＿死神。

「コイツ…っ、空間ごと斬りやがった！」

剣持と椎名の間に出来た虚空。
死神が空間を斬った証だった。

_パチン

そう指を鳴らす音が聞こえると、次の瞬間。

「っは、？剣持！？」

「椎名！…くっそ、」

椎名はリビングへ、剣持は書斎へと飛ばされていた。