【2434】もちもち霊媒事務所【mcmc】 (ページ30)

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「…とりあえず、気配辿るか」

椎名の前では強がっていたものの、剣持もホラーが得意という訳ではなかった。

「あー…出る。絶対出るここ…」

建物の薄暗い明かりを頼りに剣持は椎名の気配を辿っていった。

一方、椎名は。

「けんもちぃ…あてぃしが死んだら呪ってやるからなぁ～…」

幽霊よりも物騒な言葉をぶつぶつと呟きながら重たい足を引きずるように通路を進んでいた。
そのスピードは剣持と進んでいたときと比べると信じられないほど遅かった。
が、これが今の椎名の限界だった。

そして、このお化け屋敷、二人にとって１つ誤算があった。

「うううう…出口は何処なんや～…？」

たどたどしく進む椎名へ近づく一本の腕。
その手は椎名の肩へ近づき＿＿

ポンッ、と椎名の肩に手を置いた。

刹那、

「ッッッ！！！？？」

椎名は声にならない悲鳴をあげて迷路を走り抜けて行った。
そう、このお化け屋敷はホンモノが出るのであった。

そして、椎名が悲鳴をあげて走り去った時、椎名の肩に手を置いた怪異の体が真っ二つになった。

「…なにしてんの？」

怪異に突き刺さる冷たい視線。
怪異を真っ二つにしたのは剣持であった。

剣持はしばらく怪異を睨んでいたが、はぁ、と小さく溜め息を吐いた。

「さっさと祓って椎名と合流するか」

剣持はそう言って手に持っていた刀を怪異に突き刺した。

「剣持！あーもうなんでどっか行ったんや！」

「いや先に走って行ったのお前だろ！？」

「そもそも誘ったの剣持やん！…もうお化け屋敷は勘弁や…」

無事に出口付近で合流した剣持と椎名は軽く言い合いをしながらお化け屋敷を出た。