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「え、な、剣持?」

無言で頭を撫でてくる剣持に椎名はドン引きして顔をひきつらせながら名前を呼ぶ。

「…除霊は今度にしよう」

頭を撫でていた手を降ろし剣持はそう呟いた。

「え、でも。死神なんやろ?はやくせんかったらまた被害が…」

「今の状態の椎名だったら霊は祓えない。まだ茜を祓う勇気ないんだろ」

剣持の断定したような言い方に椎名はムッとしたが言い返すことができずに押し黙った。
実際、椎名は茜のことを諦めていなかった。

「ま、その代わりに…」

剣持は話を変えてカバンの中を漁りだした。
あった、と剣持が取り出したものは二枚のチケット。

「…?なんそれ」

椎名がチケットを覗き込むと書いてあったのは遊園地の1日フリーチケット。
この辺にあるちょっと大きな遊園地だった。

「この前除霊の報酬で貰ったんだ。ここ行かないか?」

椎名は行く、と言いかけて、ん?、と思った。

「(これってつまり…デートでは?)」

それを認識した瞬間に椎名は顔を赤らめた。
剣持と、あてぃしが!?いやいやいや!、と頭の中がパニックになるが目の前の剣持は気づいていない。

「椎名?」

ズイッと剣持に顔を覗き込まれた椎名は赤い顔を隠すように手で顔を覆った。

「…行きたくなかったか?」

明らかにしゅんとしたような声でそう言われ椎名は反射的に行く!と言った。

「じゃあ、明日の朝に迎えに行くから」

剣持はそう言って教室を出ていき、椎名は大きな溜め息を吐いて机に突っ伏した。

「あぁ…明日どうすればいいんや…剣持のばかぁ…」

羞恥心とちょっと楽しみにしている自分が居て感情の整理がつかない椎名は更に溜め息を吐いた。


「…いじめすぎたか」

頭を抱えている椎名を見て剣持はクスッと笑い、誰もいなくなった廊下を軽い足取りで歩いていった。

6.デート→←・



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もめん - えのきんきんさん» ありがとうございます! (2022年4月25日 0時) (レス) id: 0e89e6a4c8 (このIDを非表示/違反報告)
えのきんきん(プロフ) - 最高です……!! (2022年4月23日 22時) (レス) @page33 id: 4af4b18def (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もめん | 作成日時:2022年2月20日 1時

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