検索窓
今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:13,076 hit

ページ26

「…今日は退くわ、後で後悔しても知らないから」

茜はそう言って立ち去っていき、その姿が見えなくなったところで剣持は溜め息を吐いた。

椎名を待たせてしまったな、と思い少し足早に教室へと進む。
教室の窓は開けられており、そこから椎名の姿が見える。椎名は、真剣な表情でスマホの画面を見つめていた。

「…椎名」

剣持がそう呼び掛けると椎名はパッと剣持のほうを向いた。
椎名は何か言おうと口を開くが、言葉にならず口を閉ざした。

まぁ無理もないよな、と剣持は心の中で納得した。
茜と剣持が話しに行く前、剣持は椎名に依頼内容の資料を送っていた。
もちろん、西城茜の資料も含まれている。

「…椎名、気づいていたんでしょう本当は」

剣持のその言葉に椎名は顔を歪めた。
実際、気づいていた。初めて茜と対面した時から、椎名は茜が人間ではないことに気づいていた。

「…っ信じたく、なかったんや」

泣きそうな声でそう呟く椎名。

剣持と二人で初めて除霊した七不思議。椎名はあのときと一緒で、茜は悪い怪異ではないと信じたかったのだ。

でも実際は、そうではなかった。

「あてぃし、馬鹿みたいや…前もこんなことあった。結局、居らんのや。友達なんて」

椎名の脳裏に映るのはパンダのフードを被った少女。
椎名の親友であった彼女は、突如姿を消した。周りの人の記憶も、なにもかも。
覚えているのは椎名だけだった。椎名だけ取り残された。

「…ほんっま、馬鹿やな。あてぃし」

そう言ってフッと笑う椎名に、今まで黙って話を聞いていた剣持は近づいた。

そして…

「…え、?」

椎名の頭を撫でた。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (37 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
42人がお気に入り
設定タグ:2434 , 椎名唯華 , 剣持刀也
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

もめん - えのきんきんさん» ありがとうございます! (2022年4月25日 0時) (レス) id: 0e89e6a4c8 (このIDを非表示/違反報告)
えのきんきん(プロフ) - 最高です……!! (2022年4月23日 22時) (レス) @page33 id: 4af4b18def (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もめん | 作成日時:2022年2月20日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。