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「剣持、せーのでいこせーので」
「わかったわかった…」
椎名は剣持の腕を掴みながら階段を登り、鏡に目を合わせないようにして踊り場に辿り着いた。
「じゃあ、行くぞ?」
「うん、せー…」
の、と言った時に、椎名はギュッと更に強く腕を掴んだ。
鏡を見たとき、本来自分の姿が映っているところには、ナニカが視えた。
それを認識した途端、椎名の意識は途絶えた。
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・
「よく寝るなコイツ…」
剣持は横で眠る椎名を見てそう呟いた。
あのとき同じように剣持も意識を失い、先に目を覚ましていた。
目覚めたところは、鏡の中の異界。
今まで行方不明になった人間や怪異も此処に飛ばされていた。
見渡す限り、何処までも続く闇。
足元の床は、赤黒い液体で埋め尽くされていた。恐らく、血が。
「(…おかしい)」
剣持は異変に気づいていた。
此処には人間の気配は愚か、怪異の気配すらしなかった。
あれだけ喰らった証拠があったのにその気配をまるで感じさせなかった。
そして、剣持が少し探索しようかと立ち上がったとき、その気配はした。
ぞわぞわと、身に迫る脅威を体感させられる黒くドロドロとした気配。
「は、?」
剣持が振り向いたとき、ソレは目の前に来ていた。
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もめん - えのきんきんさん» ありがとうございます! (2022年4月25日 0時) (レス) id: 0e89e6a4c8 (このIDを非表示/違反報告)
えのきんきん(プロフ) - 最高です……!! (2022年4月23日 22時) (レス) @page33 id: 4af4b18def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もめん | 作成日時:2022年2月20日 1時