【2434】もちもち霊媒事務所【mcmc】 (ページ14)

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いざ七不思議を前にすると、椎名は足がすくんだ。

「む、無理！やっぱ無理やって怖い！！」

「ここまで来たのにまだ言うかお前…！」

逃げようとする椎名の腕を掴んで止める剣持。デジャヴである。
それでも、椎名が七不思議を怖がる理由は剣持にも分かる。椎名がビビりすぎなところもあるが。
七不思議は噂が多く、力が強い怪異だ。噂に引き寄せられた人間を呑み込んでしまう。
喰った人間が多い分、噂が広まっている分強い怪異が生まれる。
この大鏡がいい例であった。

「いややぁ！まだ死にたくない！」

「じゃあ鏡を見なきゃいいだろ！！」

椎名は、死にたくなかった。
生に執着しているわけではないが、自分の人生を狂わされた怪異に、命まで取られたくはなかった。

そして、椎名は分かっていた。
剣持が封印できないとなると封印できるのは自分だけ。だけど、行方不明になった人とか、そんなものの為に椎名は此処には来ていない。
椎名は、剣持の為に此処に来ていた。

「…剣持、」

「…なんだ？」

剣持は、友人の頼みだから此処に来ていた。椎名を守る為に此処に来ていた。

「ちゃんと居ってや？」

「分かってる」

二人の思いが、一致したときだった。