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「よぉ剣持〜って、なんで制服なん?」
「ちょっと…諸事情で。」
深夜2時、校門の前で待ち合わせをしていた椎名は、待っていた相棒がまだ制服だったことに戸惑っていた。
「もしかして、走ってきたん?」
「あぁ…間に合いそうに、なかったので」
息を切らしている剣持を見て椎名は竹刀入れだけでもおいてけばよかったのに、と思いながらスマホに目を落とした。
スマホの時計を見ると、午前2時ちょうど。
「…こういうとこしっかりしとるんやな…」
「?何の話です?」
剣持の問いに椎名は答えず行くで、と校舎へ歩き出した。
肝試しの集合場所は玄関。遅れる訳にはいかない、と二人は足早に進んで行った。
「…あの、椎名?早く降りてくれません?」
「む、無理!この門高いんやで!?」
校門の内側で少し上を向きながら呆れたような目をする剣持。
その目線の先には、門に掴まって震えている椎名の姿があった。
こうなったのは少し前、当たり前だが、校門は閉まっており、中へ入るには門を飛び越える必要があった。
剣持は運動部ということもあり難なく飛び越えたが、問題は椎名だ。
「無理!思ったより高い!」
登るまではいけたが飛び越えられないでいた。
この学校の校門は高く、男子はともかく女子が飛び越えるのは相当勇気がいるだろう。
それに加え、椎名には謎のプライドがあった。
「い、いややぁ〜剣持に受け止められるなんて屈辱すぎる!!」
「お前よく僕に守れなんてお願いできたな」
口ではまだ威勢のいい椎名だが、そろそろ腕の限界か震えている。それに、これ以上騒ぐと忍び込んでいることがばれてしまう。
「っ…あーもう!」
剣持はしばらく考えた後、少しジャンプして椎名の腕を引っ張った。
「へっ…!?」
急に体が前に傾いて椎名は少しパニックになりながらもう片方の手も放し体を剣持に預けた。
「はぁ…やっと入れた…」
剣持は呑気にそんなことを言っているが椎名の胸はバクバクと鳴っていた。
「(あ、たし、今、剣持に…)」
さっきの出来事を思いだし、椎名はカアッと顔を赤らめた。
そしてもちろん、剣持が椎名のその心情に気づくわけもなく。
「…椎名?なんか顔赤くないか?」
「っ…剣持のバカ!あてぃしの下着見たやろ!」
「はぁ!?見てねぇよ需要ねぇだろ!」
椎名は必死に、赤い顔を剣持から隠した。
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もめん - えのきんきんさん» ありがとうございます! (2022年4月25日 0時) (レス) id: 0e89e6a4c8 (このIDを非表示/違反報告)
えのきんきん(プロフ) - 最高です……!! (2022年4月23日 22時) (レス) @page33 id: 4af4b18def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もめん | 作成日時:2022年2月20日 1時