才能なんてないから

諦めない人 ページ47

「…それじゃあ」

「うん！またねー」

話しているとわりと早く家に着き、僕は及川さんと別れた。部屋に入り電気をつけ、適当にテレビをつける

「…つまんない」

特に面白いと思うテレビ番組はなく適当につけっぱなしにしてお風呂に入る。お腹が減ったなと思いつつも先にお風呂を済ませておかないと後から面倒くさくなって入る気になれないと思った

シャワーを浴びながら帰り道及川さんの言葉を思い出す。

諦めることを辞めない理由。そんなの諦めた方が楽だから、でもきっとこれは自分に言い聞かせてる建前なのかもしれない

(知らないよ)

勝ち目がないのに必死になってボールを追っていた中学の日向が頭を過る。誰もが北川第一が勝つと思って疑わなかった試合。日向のチームメイトすらも諦めていた。なのに日向だけは諦めていなかった

僕はその光景を見て、少しばかり日向が凄いなと思った。勝ち目がないなんて誰が見てもわかるはずなのに

最後のトスミス。あれだって日向は飛んだ。誰も予想していなかったし、狙った訳でも無いだろうに。諦めなかった

僕は日向に少しばかり感心したんだと思う。けれど、帰り泣いている日向を見て僕は思った。

最初から勝ち目が無いことくらいわかってるし、なんであんなに必死にやったんだろう。適当なところで諦めとけば辛くなかっただろうに。と

優勝候補だった僕たちと公式戦初出場のチームじゃレベルの差だってありすぎる。

朝→←少し楽しい

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