・ ページ6
「彼氏なんかいらんよ....絶対作らん!!
やって、私は晋ちゃんが傍におってくれたら何も要らんもん.... 」
『ちょ、お前急にどしたん?落ち付けって!!』
「急にやない!もうずっと我慢しててん.....。
なぁ、晋ちゃん私が何で髪伸ばしたか知っとる?」
面食らった晋ちゃんの顔。
きっと、あの日蓋をしたはずの何年分もの想いが溢れてしまっているんだ。
もう後戻りはできない。
「中学の頃、晋ちゃんが好きやった子が髪長かったからやで?
髪だけやない。このメイクも、髪型も、スカートも全部。」
「晋ちゃんがポロッと言った一言真に受けて、
ちょっとでも晋ちゃんの好みに近づきたくて、着飾って、
ほんまにアホやろ?.....でも必死やねん。何年も。」
きっと世界一不格好な告白だ。
涙で遮られて晋ちゃんの表情は読み取れない。
それ以前に、顔を上げることができなかった。
耐えきれなくなって、今すぐにでも立ち去りたくて
弱い私は、意地っ張りな嘘で逃げてしまう。
「っ、ごめん!こんなん急に....何言ってんねやろ」
『......A、顔見して。』
「やっぱり飲み過ぎたみたいやわ!ほんまはうちめっちゃ弱いのに!!!」
『A、顔。』
「そろそろお開きにしよ!今なら終電も間に合う....っ!」
逃げようとした身体は呆気なく捕まえられて、
あっという間に晋ちゃんの腕の中。
安心、緊張、喜び、全部矛盾した感情でぐちゃぐちゃだ。
『A、言い逃げは無しやって....
頼むから、まだここおって。お願いやから。』
やっと顔を上げて見た晋ちゃんの表情も
晋ちゃんの声色も全部優しくて、また涙が溢れた。
『.....お前、泣き過ぎやろ笑』
「やって....言ってもうたら一緒におられへんと思って....」
『何でそうなんねん!お前1人でなんでも完結さすなや。』
私の背中を撫でながら、大きな溜息をついた。
『どうすんねん。そんなん言われたら、もう戻れへんやん。
諦めよう思てたのに。』
「え、それってどういう.....」
『お前にはもっとちゃんとした、真面目で、大切にしてくれる、歳の近い男がお似合いやって思ってた。』
221人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんこ(プロフ) - 見取り図が好きなのでどちらもドキドキしました!🫶🏻特にリリーさんの話でコンプレックスが出ちゃうシーンとかすごいよかったです!夜中さんのペースでいいですので更新楽しみにしてます✨ (2月15日 12時) (レス) id: 262806c1af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夜中 | 作成日時:2021年6月21日 9時