今夜も君と見る夢を望んでしまう (ページ19)

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「いや、他誰も誘うつもり無いねんけど.....」

『え』

「別に2人でもいいやん。え、お前俺と2人嫌？

やからそんな必死で他の人誘おうとしてるん？」

『ちがう、ちがう！！ごめん！』

阪本のひどく傷ついた顔に
一気に申し訳なさが押し寄せて全力で否定する。

『うちと2人だけやったら、阪本楽しないかなとか思って。

右京はほら、話もおもろいし、明るいし

でもうちは、別に特別おもろい話できる訳やないし.....』

阪本の顔がちゃんと見れない。言わなきゃ良かった、
と後悔しても一度吐き出した引っ込められない。

『ごめん！変な空気にしてもうて、こういう所があかんねんな』

ぽん、と俯いた頭に乗せられた重み。

それは間違いなく阪本の手で、
恋愛ドラマような展開に少し胸が高鳴った。

瞬間、

思い切り頭を鷲掴みにされて、ぐりぐりと圧力をかけられる。

『えっ、痛い痛い痛い！！！！！ギブ！！！縮む！！！！！』

あまりの痛みに思わず顔を上げると、

阪本は呆れたような表情で眉間に皺を寄せていた。

「行きたない奴の事わざわざ誘うわけないやろ。

何気にしとるんかしらんけど、

Aがおもろないとか1回も思ったことないで。

あと.......さっきも大喜利で無双しとった奴が何言うてんねん」

だんだん語尾に怒りが篭ってきたかと思うと、また指に力が込められる。

『ごめんごめん！！もう言わんからそれやめて！！！』

「よし」

満足気に笑う阪本に、きゅっと胸が締め付けられる。

落ち込んだ時、自己嫌悪に陥ってしまう時、

いつだって、誰よりも欲しい言葉をくれるのが阪本だった。

「何食いたいん」

『え、なんでもいい』

「お前さあ.......それが一番困るんやけど」

「こことかいいんちゃう？」

小言を言いながらも、
私の好きそうなお店を探してくれる阪本に頬が緩む。

その横顔を眺めながら

ふと、阪本を好きになった日のことを思い出した。