今夜も君と見る夢を望んでしまう (ページ18)

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「昼飯食うたん？」

『まだ。店探し中』

「.....俺もまだやねんけど、どっか出る？」

『え！行きたい！！』

滅多にない阪本からのお誘いに、食い気味に返事をしてしまった。
まだ何を食べに行くかも決めていないのに。

「何、そんな腹減ってんのか」

『いや、まあ....うん.....』

なんだか食い意地の張った奴みたいになって恥ずかしい。

「阪本とご飯行けるのが嬉しいから」

なんて言える訳もなく、曖昧に言葉を濁すしか無かった。

『他に誰か誘うん？』

「え？」

『きんちゃん？阪本ずっと仲良いよな、

それか、右京とか？あー.....でも右京の事やから

もう予約いっぱいかな、』

ちら、と相方の方へ目を向けると、
先輩、同期、後輩、男女問わず人だかりができていた。

相方の右京は、NSC時代から一目置かれる存在だった。

ずば抜けたセンスと、モデルのような整ったルックス。
それを全く鼻にかけない、気取らない性格が
彼女の魅力にますます拍車をかけている。

それに比べて私は何もかもが普通だ。

何か特筆するセンスもない、特別顔が可愛い訳でもない。
唯一自信のある大喜利もそこそこ面白いといったところで、
奇想天外な右京の回答の前では酷く平凡に思えてしまう。

ネタも一応2人で作っているが、
右京の出したざっくりとした案を、私が整えて形にしているだけで、
私が0から1を生み出すことは滅多にない。

その凄さを誰よりも知っているからこそ
時々、どうしようもなく羨ましく思ってしまう自分がいる。

阪本が右京のこと、先に誘ってたら嫌やな＿＿＿＿＿

そんな子供じみた事を考える自分が心底嫌いだ。