今夜も君と見る夢を望んでしまう (ページ15)

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「あの、リリーさん.....」

お店を出てもずっと無言のままの彼。

何か彼の気に障る事をしてしまったのだろうかと

必死で頭を巡らせてみても皆目、見当がつかない。

流れる沈黙が苦しくて胸が締め付けられる。

『ごめん』

「え....」

『無理やり連れ出してごめん、怖かったやろ？』

「いえ....びっくりはしましたけど」

「私、何かリリーさんの気に障るようなことしちゃいました？

ごめんなさい、私理由が分からなくて....」

『いや、Aちゃんはほんまになんも悪くないんよ。

俺の問題』

先程の不機嫌な表情は消えて、代わりにきまり悪そうなリリーさん。その表情に少しだけ安心する。

『この間さ、何であんな逃げるみたいにどっかいってもうたん？』

「それは.....」

『俺なんか嫌なこと言うたかなって気にしてたんよ。

それなのに今日、濱家さんとあんな楽しそうに話してたから

めちゃくちゃ焦った。』

「あの、」

『ごめん、こんなんだけ言うても意味わからんよな。

......俺、Aちゃんが好きなんよ。付き合って欲しい』

「え、」

予想だにしていなかった告白に頭が追いつかない。
明らかに動揺する私を畳み掛けるかのように、リリーさんは次々と言葉を紡いでいく。

『劇場おる時からずっと気になっとった。

周りにいつも気遣っとって、誰にでも優しくて、仕事熱心で、』

「あの、」

『この前も新人の子ばっかり褒めとったけど

俺からしたら、Aちゃんも相当可愛いからな』

「え、でも....でも私背170もあって、それで、」

『そこも含めて好き』

『逆に俺、濱家さんみたいに身長高くないけど

それやったらAちゃんの恋愛対象にはなれん？』

「そんなこと！......ある訳ないです」