今夜も君と見る夢を望んでしまう (ページ13)

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「俺はそう見えへんけど」

「どこをどうやって見たらそうなるんですか」

「意外とお似合いやと思うんやけどなあ...」

やっと諦める決心がつきそうなのに

ここで変な期待を持たせるのは本当にやめて欲しい。

「そもそもなんでリリーなんやっけ？

めちゃくちゃ背高い訳でもないし、Aのタイプ硬派やんか」

「めっちゃしょうもないんで言いたくないです」

「余計気になるわ。絶対に黙っとくから、あかん？」

「.......絶対に誰にも言わないでくださいよ。

その、もう何年も前ですけど、

昔まつ毛が長いって褒めてくれたんです.....」

少しの沈黙と、拍子抜けした顔の濱家さん。

この反応を想定していたから誰にもこの理由を言いたくなかったのだ。

「待って？え、どういうこと？」

「だから言ったじゃないですか！！！」

「私、イジられるのも褒められるのも大概は身長の事で

そんなこと言われたの初めてだったんです....」

「誰も見てないところを、リリーさんは褒めてくれたんです」

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『Aちゃんってまつ毛長いよなぁ』

「え、......初めて言われました...」

『そうなん？皆に言われとるかと思った』

「無いです、無いです！

リリーさんくらいですよ、そんな所に気付いてくれたの」

「多分私くらい大きい女の人ってなかなかいないから、

顔が近い分よく見えるのかもしれませんね笑」

『じゃあ俺だけの特権やな』

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笑うわけでも、自虐に同調する訳でもなく、

当然のようにただ1人の”女の子”として扱ってくれた。

そしてあの日のあの瞬間から、

私の心の中はリリーさんが埋めつくしてしまったのだ。