今夜も君と見る夢を望んでしまう

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あれから数日後、またしても劇場に見取り図さんが来ることを耳にした。

2人が東京に行ってからは、

毎日のようにリリーさんに会いたかったはずなのに

今は何だか気まずくて顔を合わせられない。

今日は劇場で少しトラブルが起きてしまい、午前中だけ急遽仕事になってしまったのだが、

幸いにもリリーさんと顔を合わせることは無かった。

トラブルも無事解決して帰宅しようとしたところ、

懐かしい声に引き留められた。


「あれ、A？」

「わ！お久しぶりです、濱家さん！」


振り返ると、今やテレビで見ない日は無いほど多忙な先輩が

昔と変わらない人懐こい笑顔を浮かべていた。


「久しぶりやな〜。相変わらずちっちゃいな」

「それ私に言えるの濱家さんだけですよ笑」


濱家さんは、まだ劇場メンバーだった頃から

当時新人スタッフだった私をいつも気にかけてくれていた。

自分の身長を忘れてしまうほど、

身長差のある彼の隣は心地よくて、私も本当のお兄ちゃんのように慕っていた。


「まだ仕事？」

「今日はもう終わりです」

「じゃあ久々に飯行かん？俺もまだ時間あるし」

「えっ！いいんですか？行きたいです！」


濱家さんの提案で、昔何度か連れて行って貰った事のある、

懐かしいお店に決定した。


「で、Aは相変わらずリリーなん？」


注文を済ませて昔話に花を咲かせていたところに、突如投げ込まれた爆弾。

口に含んでいたお冷を思わず吹き出しそうになった。


「何ですか急に」

「俺らが東京行く前はよう相談にも乗ってたやん。

まだ好きなんやろ？」

「まあ、そうですけど.....

でも、私もうとっくにリリーさんのこと諦めてます」

「えっそうなん！？何でなんそれは」

「そんなの脈無しだからに決まってるじゃないですか....」


こんな悲しいこと、私の口から言わせないでほしい。

落ち込んでいたところに到着した懐かしい定食。

くらい気持ちを誤魔化すように啜ったお味噌汁の温かさに

少しだけ心が和らいだ。

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