22話 ページ22
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『それと……私のことは誰にも言わないでね。』
「、え、えぇ…もちろんよ。」
『同級生にこんなことを言うのも……本当に嫌なんだけどね。本当に知られたくないんだ……分かってくれる？』
「……っ、ええ、わかったわ。本当に、ごめんなさい。」
『いいよ。気にしてない…は、嘘になっちゃうけど。雷門さん、私の経歴を見て、どう思った？』
「え…？」
割れたカップを片付けたAは、カップが落ちた場所を手で撫でつける。その行為に夏未は恐怖する。もしそこに破片があれば、もしそこに目にも見えない破片があれば。彼女は、手を怪我する。小学生でも分かるそれに、Aは一切躊躇せずにやって見せたのだ。
それに夏未は驚愕を超えて恐怖を覚えた。
そして、今まで分からなかったAが、やっと見えた気がしたのだ。まだ一欠片、でもAの大事なところが見えた気がした。
「、……びっくりしたわ。いつも、あんなに優しく笑っているのに。こんな過去があったなんて……でも！AさんはAさんよ。何時でも優しくて穏やかなAさん。そこは変わらないわ。」
『──ううん。変わるんだよ。』
「？！ どういうこと？」
Aはまた座り直す。
儚げに目を伏せたAに夏未は目を奪われる。
灼熱の太陽の光に当たればすぐに溶けてしまいそうな、そんな美しさと儚さに、夏未は先程から動揺を隠せない。
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作者名：あい | 作成日時：2023年3月18日 0時
