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「Aちゃん…」
酷く傷ついた顔に驚く。いつもの明るく可愛らしい笑顔は消え去り、そこには小さな女の子が迷子になったような顔をしていた。
驚いて止まったわたしにぎゅう、と勢いよく抱きついてきた春奈ちゃん。咄嗟に背に腕を回した。
「Aちゃん…私…！」
『……大丈夫、春奈ちゃん。わたしがいるよ。』
可哀想に、小さく震える肩。本当に何があったのだろうか。わたしには背をゆっくり撫でることしか出来ない。
その後ゆっくりと離れた春奈ちゃんと手を繋ぎながらグラウンドへ戻り、秋さんに普段通りに振る舞う春奈ちゃんのフォローをしながら一日がすぎた。
そして次の日。
『皆さん、張り切るのもいいですけど、ちゃんと休息もとってくださいね。』
「おう、ありがとう！」
気合いも入っているし調子もいい。オーバーワークや怪我が心配だが、これなら全力で戦えるだろう。そしてもうひとつの心配事。
「珍しいわね、冬海先生が来るなんて」
「一応監督ですから」
「それはそうだけどさ」
苦笑した秋さんと共に苦笑する。
雷門さんが話しかけた数秒後、冬海先生が大きな声出した。その声に驚き練習は中断された。
全員で移動するのはバスが収納されている倉庫。何処かピリついた雰囲気に両手を合わせてぎゅう、と握る。
雷門さんが何度も促しても冬海先生は動かさない。
──ああ、嫌な予感がする。
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作者名：あい | 作成日時：2023年3月14日 19時
