雪解けに最後の接吻を K.T (ページ8)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:11,998 hit

毛布の温もりと君の優しさページ8

…

彼のしつこさに観念して私は君に伝えようとしていたんだ。SOSを

でも。

『今日のあいつ見た？』
『見た見た笑まじキモかったんだけど、やっぱりぼっちなの見られたくないのかね～』
『きんもっ笑今頃便所とかで飯食ってんじゃね？』

ギャハハハハハ

…

私の大嫌いなおつむ足りない金切り声。
脳裏に響いて今すぐにここを抜け出したかった。

『ん。』
『…なによ。』
『おれ、べつに体調悪いわけじゃないしさ、いいよ。ここ。』
『…む。、なによ急に、』
『いやべつに？』
『なんか、怪しい…』
『…いや、そんな変なこととかしねぇし。』

…分かってるわ。
でも。、もしかして、これは彼なりに気を使って言ってくれてるのかな、
まだ、外の私の悪口は続いてるようだし、この私の震え具合とかできっとびびっときちゃったんだろーな。
そんなに勘良くなくていいのに…

『ん。ありがとう。恭平…くん？』
『おう。』

彼に例を告げると私は彼の寝ていたベッドに身を潜らせた。
まだ、彼の制服から滲み出ていた洗剤の残り香があってなんだか悪いことをしている気分。

『なんかさ～、あいつ男たらしだからな～』
『ね。さゆりんの男奪ってさ』
『まじで、あのたらしふざけんな』

未だ悪口は続いている。
嫌われてるって事は知ってたけど、こうやって直接悪口を聞けば傷つかない人はいないよ。
自然と私の目からは涙が流れていた。

その時…外の音が一気に遮断されて私の耳には軽快なポップソングが流れ始めた。