KOUGU男士と7つの宝石

アルトソムリア国、上陸。 ページ6

(side紙やすり)
｢うわー、霧だらけだな｣
トロ舟の声が目覚ましになった。目を覚ますと一面霧だらけで、どこがどこだか分からない位だ。
｢A様、着いたんですけど。こりゃぁ困ったもんだな｣
｢ここが、アルトソムリア｣
｢チェーンソー、ここが本当にアルトソムリアなの？｣
｢今は梅雨の時期なんでしょう。間違いなくアルトソムリアです｣
初めての他国、アルトソムリア。意外とすぐに行けるんだなぁ。
｢ん、朝か｣
｢プラスさん、おはよ。今日はプラスさんがお寝坊だ｣
｢そんなに寝たのか｣
いつものぴょんぴょん髪が寝癖によってもっとピョンピョンしている。
｢プラスさん｣
｢どうした、やすり｣
｢何か怖い｣
世界一周旅行とは違い、宝珠を探しにアルトソムリアまで来た。"楽しい"とは違う変な感情が心を渦巻く。
｢大丈夫だ、俺が着いている｣
頭を撫でてくれた時に僕の手にも触れた。
コピー。これは"やすりすり"か"花鳥風月"かどっちかをやる合図。
｢どっちやるの？｣
｢相手にバレないようにするなら、やすりすりだな｣
プラスさんが上着を脱いだ。意外と上着は重くてこれを着て稽古していると考えると頭が下がる。
｢みんな振り落とされるなよ。トロ舟、白河夜舟 だ｣
｢おうっ！｣
｢やすりすりっ｣
｢白河夜舟っ｣
風が使える｢やすりすり｣と浮遊系の｢白河夜舟｣で飛ぶことが出来た。
｢うーん何の騒ぎだ｣
｢兄さん、おはよう｣
｢今、トロ舟で空を飛んでるんだ｣
｢アルトソムリアの海は和の国より広いんだな｣
海より大陸だろ、って思ったけど口に出さない。
｢時計回りに7つの島がありますがAさん、どうしましょう｣
｢そうですね。やはり手紙に書いてあった順から行きましょうか｣
｢じゃあ、アイリーン島を目指して行ってくれますか？｣
｢あったりめぇよ｣
チェーンソーはググノアで産まれた様だ。
｢ねぇチェーンソーはん｣
｢何でしょう｣
｢各島の中央に聖法気の塊が見えるけど、あれが宝珠のなるセフィロトの樹ですか？｣
｢ええ、各島に1本ずつなっているのが島の象徴。アルトソムリアは天界と繋がっていて宝珠を護る"守護天使"が居ましてアイリーン島は"カマエル"になっています｣
｢へぇ。じゃあそのカマエルはんと戦えば宝珠は貰えるぅて事なんか？｣
｢いいえ。7つの島は使える魔法が決まっていて今行くアイリーンは、やっとこ、鉄槌、砥石。何でも系のボックスさんが有効かと｣
｢誰でも行けるって訳じゃないの？｣
｢えぇ｣
体力じゃ無くて頭脳か。

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