天穹ソルティ【ハイキュー】【及川徹】

sharp ページ33

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『くりすます』


『そう、クリスマス。知ってる？』



『日本語訳で”キリストのミサ”と呼ばれ、毎年十二月二十五日に行われるイエス・キリストの降誕祭。尚、クリスマスはあくまでキリストの誕生を祝う日である為、キリストの誕生日であるかは不明である』


『やっぱり．．．。ていうかクリスマスってキリストの誕生日ってわけじゃないんだ。初めて知った』





今日は12月24日、クリスマスイブだ。我が家では毎年恒例で、岩泉家と一緒にパーティーを開く事になっている。今年のイブは金曜日だが、吹部が体育館を貸し切ってクリスマス公演を行うという事で部活も休みだ。


サンタクロースとか知ってるかな？と淡い期待を込めて聞いてみればこの通りだ。見事に打ち砕かれた。





『クリスマスはね。サンタクロースがやって来るんだよ』


『さんたくろうす？』


『うん。サンタさん。クリスマスイブの夜に、今年一年いい子にしてた子供のいる家に来て、プレゼントをくれるんだ』


『プレゼント』





Aの瞳がパチリと音を立てて煌めく。


Aの誕生日は五月だから、彼女は今までプレゼントを貰った事はないんだ。





『Aにもぷれぜんと、くる？Aはいいこ？』


『うん。Aはとてもいい子だから、きっとサンタさんも来るよ。Aは何が欲しいの？』





あ、とAが呟いた。プレゼントという言葉に反応しただけで、中身は思いついていなかったのだろう。


悶々と考えるAを待っていると、





『．．．徹』


『ん？』


『徹が欲しい』


『はい???』





Aの言語を理解するのは少しどころかとても難しい。





「意味が分からん」


「安心して。俺も全然分かんなかった」


「安心できねーよ。困るわ。今からプレゼント買うっつーのに」





学校からバスで15分、子供が騒がしい大型ショッピングモールのおもちゃ売り場に平均184cmの大男が4人。虚しい絵図だ。しかも立ち尽くしていると来た。





「岩泉ママ変換よろ」


「誰がママだ。俺にも分からん」





世の母親父親は毎年こんな思いをしているのだろうか？







*sharp．．．きつい。刺激の強い味わい。

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