watery ページ30
.
「おいクソ川、てめえ何熱出してんだ」
「ちょっと待って？見舞いに来たんじゃ、ゴホッなが、ヒュッ、っぁの．．．」
「何言ってんのか全然分からん」
突然襖がスパーンと音を立てたかと思えば岩ちゃん達が入ってきた。もう放課後か。俺がだるい身体に鞭を打ちながら起きようとすると、乱暴に見えて体調に障らないよう岩ちゃんが布団に押し戻す。
「具合はどうだ具合は」
「朝に比べ、たら、ぜんぜん．．．」
「阿呆か、マシかマシじゃねえかなんて聞いてねえっつうの。まだ熱たけーじゃねえか」
食欲は？と聞かれて首を振る。岩ちゃんは俺の額で温くなった冷えピタを取り替えながら、スポーツドリンクを取り出し、コップに注いで差し出してくれた。
「岩泉の母力がすげえ」
「俺らいる意味ある？」
「おう、こいつ貶しとけ」
「ちょっと．．．」
何時もならギャンギャン噛み付くのに、口から出たのは吐息のような掠れた声だった。岩ちゃんは俺の項に大きな保冷剤を薄いハンカチで包んだものを当て、コンビニのレジ袋から見覚えのあるプリンを出した。
「どうせ粥なり果物なりはおばさんが食べさせてくれただろ」
「うん．．．」
「プリン食っとけ。牛乳パンも買ってきたからお腹が空いたら食え。因みに一日三百円の利子つきだ」
「何それ嘘でしょ．．．」
「ほら、俺達からも見舞い品。シュークリームとポテチ」
「お前ら．．．自分達が食いたいもん買っただけだな．．．」
「バレた？」
「ま、元気になったら食べろよ」
「ありがと。．．．もう俺のことはいいから、コホッAの元に行ってあげて」
岩ちゃんは冷えピタの上から俺の額を軽く小突いた。
「言われなくてもそうするつもりだったべ。おめーはおめーの心配してろ」
「じゃ、及川お大事にねー」
「俺らAちゃんといちゃいちゃしてるから」
「うん．．．それはダメ．．．」
この仲間に出会えて良かった。
*watery．．．水っぽい。味が非常に薄い様。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆん(プロフ) - 素敵な作品で続編が気になってしまいました💦期間限定とのことですがすごく感動してます😭 (2022年9月28日 19時) (
レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
桃缶(プロフ) - たくさんの温かいコメント、本当にありがとうございます。失礼ながら個人への返信は控えさせて頂きます。どうでもいい話ですけど、BGMはUruさんの『あなたがいることで』がオススメです(笑)ぜひ聞いてみてください。 (2020年5月9日 16時) (レス) id: 429c5bc4b5 (このIDを非表示/違反報告)
なむなむ(プロフ) - すごくいいお話でした。この作品を読んでアンチコメントとかする人はいないですよ！！いい作品ですもん。色んな人に読んでもらいたい作品です！ (2020年5月9日 13時) (レス) id: 2521c199da (このIDを非表示/違反報告)
メビ(プロフ) - とても素敵な作品だと思いました！期間限定なのが惜しいくらいです。感動をありがとうございました！ (2020年5月9日 12時) (レス) id: ee2ddb04ba (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - これ…期間限定公開なんですか？も、勿体ないです！！凄く素敵な作品でした……！！ (2020年5月9日 10時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2020年4月24日 10時
