tangy ページ22
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高校生活二年目の秋、とうとう文化祭がやってきた。
「1-3の男女逆転喫茶はいかがですか!?」
「南校舎にて”輝石のタピオカ”2-6好評発売中!!」
毎年十月上旬に開催される青葉城西高校の文化祭、通称”青城祭”は、ここら周辺地域の小中学校や幼稚園、商店街まで巻き込んだ、町の一大イベントである。その盛況ぶりは、県内一の名門私立高校たる白鳥沢に引けを取らない程だ。
その為、老若男女問わず、毎年多くの客が訪れる。
校門の近くに立っている自分の今の格好を見下ろして思わず乾いた笑みが漏れた。
俺とマッキーのクラスが出す喫茶店の今年のコンセプトは、”海賊船”だ。
「うわっ、めっちゃイケメン。マジでヤバみが深いんですけど〜!!」
「え、アンタ知らないの!?今年の青城男バレの二年組、超有名じゃん!」
「あ!及川くんと花巻くんじゃない!?」
「超ラッキー...!!」
俺とマッキーをちらちらと振り返る女子にひらひら手を振れば、きゃあっと湧き上がる。マッキーが聞こえないくらい小さなため息をついた。
「相変わらずだな。お前の認知度」
「マッキーも名前知られてたよ...」
「マジで?」
毎年毎年、変わらない悩み種だ。女の子は好きだし、大事にしないといけないとは思っているが、如何せん文化祭は数が多すぎる。
俺は海賊船の乗組員に扮したラフな格好のマッキーを睨み据えた。
「いいよねマッキーは。ゴテゴテしてなくてさ!」
「確かにその格好は俺も嫌だ」
「あ〜もう!!」
「諦めろ。それがイケメンの宿命だ」
「ジャージが恋しい...」
「イケメンがジャージを欲してる絵図(笑)」
冗談じゃないよ、とまたため息をついた。
頭の帽子は重いし服はジャラジャラしてるし邪魔なことこの上ない。
三度ため息をついた時だった。
「「あ」」
「A!!徹見つけたぞ!!」
「...は?」
目の前に、いるはずのない彼女の姿がある。
Aが口を開いた。
「よばれてないけどきてやったぜ」
「...猛!!」
犯人であろうニヤニヤして俺を見てくるクソガキを思い切り睨みつけた。
*tangy...パンチが効いた味。際立った香り、舌を刺激するような味。
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ゆん(プロフ) - 素敵な作品で続編が気になってしまいました💦期間限定とのことですがすごく感動してます😭 (2022年9月28日 19時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
桃缶(プロフ) - たくさんの温かいコメント、本当にありがとうございます。失礼ながら個人への返信は控えさせて頂きます。どうでもいい話ですけど、BGMはUruさんの『あなたがいることで』がオススメです(笑)ぜひ聞いてみてください。 (2020年5月9日 16時) (レス) id: 429c5bc4b5 (このIDを非表示/違反報告)
なむなむ(プロフ) - すごくいいお話でした。この作品を読んでアンチコメントとかする人はいないですよ!!いい作品ですもん。色んな人に読んでもらいたい作品です! (2020年5月9日 13時) (レス) id: 2521c199da (このIDを非表示/違反報告)
メビ(プロフ) - とても素敵な作品だと思いました!期間限定なのが惜しいくらいです。感動をありがとうございました! (2020年5月9日 12時) (レス) id: ee2ddb04ba (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - これ…期間限定公開なんですか?も、勿体ないです!!凄く素敵な作品でした……!! (2020年5月9日 10時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エリンギ(サブ垢) | 作成日時:2020年4月24日 10時