cheesy ページ18
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「お邪魔しマース」
「あら、貴大君達久しぶりねえ。ゆっくりしていって」
「ありがとうございます!!」
「徹?お菓子用意しておくから次いでにAちゃんの分も持って行ってちょうだい」
「はーい」
返事をしつつ、マッキー達に手洗い場を指し示すと黙って手洗いうがいをしに行った。手洗いうがいは及川家と岩泉家の鉄則だ。
その間にも俺は急いでリビングに向かい、混雑している洗面台の代わりにキッチンで手洗いうがいを済ませると、エナメルバックをかけ直して母ちゃんが用意してくれていたお菓子類とジュースとコップを乗せてお盆をもつ。
A用の豆腐ドーナツも乗っている。
「相変わらず及川の母さん美人だなあ」
「同輩の母親を変な目で見んなよ」
「見てねえっつーの」
洗面所からでてきたマッキー達の会話を背中で聞きながら、階段を上る。岩ちゃんが呟いた。
「妹、Aって言うんだな」
「うん。俺達が名付けた」
「...そうか」
岩ちゃんの声音は変わらなかったけど、後ろの雰囲気が少しだけ重くなった気がした。
2階に上がった時、2階の奥にある俺の部屋の襖がゆっくりと開いていくのが見えた。まさか怪奇現象でもあるまい。
俺は歩く速度を緩めて部屋の前にたち、襖が開き切るのを待った。
中から襖を開けたのは、やっぱりAだ。
「A、ただいま。開けてくれてありがとう。おかげですごく助かった」
後から続いてきた岩ちゃん達が息を呑む音が聞こえてきた。
俺は構わずに両手を塞ぐお盆を少し高く持ち上げて見せた。Aはぺたぺたと近付いてきて、黒真珠の瞳で俺の目をしっかり見ると、
「おかえり」
「うん、ただいま。今日は、具合大丈夫だった?」
そう言いながら部屋に入り、一旦パソコンを置いている机にお盆を置いて、エナメルバックを近くに放ってから来客用のテーブルを手早く組み立てる。Aはそれを物珍しそうに一瞥しながらも、やっぱり視線は岩ちゃん達に釘付けだ。
「岩ちゃん達入ってきていいよ?ほらA、こっちにおいで」
ジーッと見つめ合う少女と大男三人のシュールな絵面に耐えかねて苦笑すると、お互いハッとしたように動き出した。Aは床について尚余るほど長い髪を引き摺りながら俺の隣に収まる。岩ちゃん達もようやく動き出した。
*cheesy...チーズ風味の。チーズの味が効いている様。
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ゆん(プロフ) - 素敵な作品で続編が気になってしまいました💦期間限定とのことですがすごく感動してます😭 (2022年9月28日 19時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
桃缶(プロフ) - たくさんの温かいコメント、本当にありがとうございます。失礼ながら個人への返信は控えさせて頂きます。どうでもいい話ですけど、BGMはUruさんの『あなたがいることで』がオススメです(笑)ぜひ聞いてみてください。 (2020年5月9日 16時) (レス) id: 429c5bc4b5 (このIDを非表示/違反報告)
なむなむ(プロフ) - すごくいいお話でした。この作品を読んでアンチコメントとかする人はいないですよ!!いい作品ですもん。色んな人に読んでもらいたい作品です! (2020年5月9日 13時) (レス) id: 2521c199da (このIDを非表示/違反報告)
メビ(プロフ) - とても素敵な作品だと思いました!期間限定なのが惜しいくらいです。感動をありがとうございました! (2020年5月9日 12時) (レス) id: ee2ddb04ba (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - これ…期間限定公開なんですか?も、勿体ないです!!凄く素敵な作品でした……!! (2020年5月9日 10時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エリンギ(サブ垢) | 作成日時:2020年4月24日 10時