赤井秀一25歳【名探偵コナン】

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「窒息死？」
「爪痕や口唇に、僅かだがチアノーゼが見られる。顔面全体も浮腫してる所を見ても、窒息死の特徴だ。あくまで私の所見だから、検視官と意見が合うかは分からないが」
「少佐が口に出して言うなら間違いないでしょうよ」

赤井は驚いてリンを見た。チャーリーが赤井の頭をキャップ越しにポンポン叩いた。

「少佐は医学にも精通してるのさ」
「医師免許は持ってないから所詮素人に毛が生えた程度だ。それよりお前達、ボストン支部に向かうぞ」
「聞き込みは？」
「通報者の話は聞いたが、これ以上我々が居ても無意味だ。後は市警に任せて、我々は防犯カメラの映像と被害者の遺族を洗う」
「了解」

チャーリー達が現場を出て車に向かう中、赤井は一度だけ、遺体を振り返った。
アフガンの紛争地帯で、無惨な死体は散々見てきた。自分が撃たなければ仲間が殺される様な戦場の最前線でだ。そこには感情も何も存在はしない。顔も知らぬ上官と政府の役人の命令で、人を殺し殺される。ひたすらに殺伐とした光景のみが広がっている。

だが、この女性は、犯人の身勝手な意思によって殺された。

「シュウ」

リンに名前を呼ばれ、遺体に背を向けた。何があったと言外に聞いてくる赤い瞳に首を振り、赤井はクーペの狭い車体に乗り込んだ。




ボストン支部の捜査チームと合流し、挨拶もそこそこに一連の事件の捜査を始めた。

「防犯カメラにも該当者なし」
「このバアさんは？」
「お前の腰もああしてやろうか」
「すみません」

遺体が発見された場所の周辺の防犯カメラの映像を調べていたユスフが顔を横に振った。チャーリーが投げやりに指さしたのは早朝に近所を散歩していたらしい老婦人で、リンの冷たい脅しに撃沈した。

遺体の女性については、身元が既に詳しく調べられていた。名前はアリア・W・マッケンジー。27歳。物理学者として今までに多くの論文を発表しているマッケンジー博士の妻で、二歳の子供がいた。検視官の所見によれば死亡推定時刻は今日のAM1:00頃。死因はリンの意見と同じく窒息死、ビニールに顔を覆われ、徐々に窒息してやがて死に至ったと推測している。また、膣の奥から少量の精液が検出された。水道水で清められてはいたものの、流しきれなかったと見える。また、精液のDNAが7件のレイプ被害者から検出された精液のDNAと一致した。

これで今日発見された遺体の女性が、本件と同一犯によって殺害された事が判明した。

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