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異能は月下獣         4 ページ23

ゆっくり立ち上がり、壁を支えにして歩く。


鏡花ちゃんの方へ、一歩ずつ。



フラッと体がよろけた瞬間、腰に黒い布の様なものが巻き付いた。


そのままグイッと体が持ち上げられ、外へと引っ張られる。



あれ? これって足元じゃなかったっけ?


それに、持ち上げられずに、引きずられる筈だよね?


何でそこだけ違うの?



呑気にそんな事を考えていると、ヒュッと空中に投げ出された。


バンッと体がコンテナにぶつかる。



……あぁ、何でかわかった。


私がスカート――しかもミニ――を穿いてるからか。



痛みに耐えながら、芥川さんを見る。


彼の闇を纏った瞳と、パチリと目が合う。



近づいてきた芥川さんは、容赦なく私の胸元を蹴った。




『っ……!』




胸元といっても、胸を蹴られたわけではなく、ほんの少し下の辺り。


細かく言えば鳩尾だろうか、そういうのはあまりわからないが。



というか、芥川さんの所為で傷口が開きそう。


いや、もしかしたら開いたのかもしれない。



……ああ、もう。


なんて事をしてくれるんだ。


こんなか弱い乙女の傷を抉るなんて……信じられないわ、爆笑。




「殺す積りで刺したが……不完全乍ら、虎の治癒力が資されているか」




危ないよねぇ。


異能力がこれじゃなかったら、ぽっくり死んでましたわ。


あ、後発動してなかったらね。




『……此処、は……海……?』




何で内心こんなにテンションが高いのかは判らない。


血が沢山出てる所為で、そうなってるのかもしれないし

もしかしたら、身の危険を感じてこうなっているのかもしれないし……。


まぁ、何とも言えない。



口の中に広がる鉄の味に眉を顰めながら、芥川さんの返事を待つ。




「密輸船だ」




密輸船。


聞いたことは何度もあるけど、実際に見たり乗ったりしたのは初めてだ。




「武器弾薬の類を運ぶ。今日は貴様の為の貸切だが」




貸し切りかぁ。


……でもあんまり嬉しくないねぇ。


だって密輸船だし。

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ウミソラ(プロフ) - とても面白かったです!!続き楽しみに待ってます!!! (2018年10月22日 18時) (レス) id: f06a1e9de4 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^読んでいて、楽しかったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月13日 22時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
大吉 - 面白いです!続き楽しみにしてます!! (2017年11月2日 14時) (レス) id: 565b1876f3 (このIDを非表示/違反報告)
ユリオLOVE - 中島ちゃんに鏡花ちゃんマジかわゆすこの小説大好きなので最新楽しみにしてます! (2017年8月26日 8時) (レス) id: b580a56628 (このIDを非表示/違反報告)
瑞祥(プロフ) - シュガーさん» コメントありがとう御座います!そう言っていただけると嬉しいです! (2017年7月30日 13時) (レス) id: 099595ab61 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑞祥 | 作成日時:2017年7月1日 9時

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