【文スト】 異能は月下獣 Part３

異能は月下獣　　　　　　　　１４ ページ18

クレープを食べた後、私たちは色々な場所を回った。



兎のぬいぐるみを取るのは大変だったけど

まぁ何とか三回目でゲットできたので良かったと思う。


ああいうのは本当に運だから。



あ、あとあれ食べたよ。


何だっけ……あ、あんみつ！




「もう一つ行きたい処がある」



疲れ果てた私とは逆に、スタスタと歩く鏡花ちゃん。



凄いね、元暗殺者は。


私なんて元自宅警備員だからちょっと辛いわ。



しかもほら、これ中島くんの体だし。


まぁご丁寧に女子バージョンになってるけどさ？



え？ 中島くんの方が体力があるんじゃないかって？


思い出してごらんよ。


この場面、中島くんもヨロヨロだったからね？ まじで。



ぐったりしながらも、鏡花ちゃんに置いて行かれないようについて行く。


はぐれたら大変な事になるから。




「あそこ」




鏡花ちゃんが行きたい処。


それは、交番。




立ち止まって交番を見る鏡花ちゃんを、私は後ろから眺める。




「もう十分、楽しんだから」




表情が見えない為、どんな気持ちなのか察することが出来ない。


まぁポーカーフェイスの彼女からは何も読み取れないと思うけど。



私、そういうの苦手だから。


太宰さんとか乱歩さんとか、本当に考え読めないし。




『……捕まれば死罪だけど』




答えなんて判り切っていながらも、そう口にする。




「マフィアに戻っても処刑される」




捕まれば死罪。


戻っても死刑。


何方にしても、彼女は殺される。



勿論、その二択しか方法がないのなら、という話だ。



彼女は殺させない。


絶対に私が守って見せる。




「それに──３５人殺した私は、生きていることが罪だから」




……普通は、そう思うよね。


人を殺したら、もう、戻る事は出来ないって。


自分が死んで償うしかない、ってさ……。

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