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異能は月下獣         7 ページ11

運ばれてきた水を飲む。


冷たい水が、喉を流れていくのが判る。



ちらりと鏡花ちゃんに視線を向けると、まだ豆府を食べていた。



可愛いなぁ。


何て言うか……栗鼠みたいで。



口元が緩んでしまうが、きっと二人には気づかれないだろう。


服の高い襟のおかげで、口元が隠れるから。



暫くすると、ぺろりと豆府を平らげた鏡花ちゃん。


心なしか顔が輝いている。




『……美味しかった?』




そう問いかけると、コクリと頷いた。



素直っていいね。


何て言うか……可愛い。



ああ、鏡花ちゃんみたいな妹が欲しいなぁ。


そしたら私、毎日がとっても幸せになると思うんだけど。



まぁ妹なんて無理だけどねぇ。



でもさぁ〜、本当に可愛いんだよね、鏡花ちゃん。


尾崎さんがあんなに可愛がるのも頷けるっていうか、あーねって感じ。


……何言ってるんだろ、自分。




『なら良かった』




お財布はちょびっと軽くなっちゃうけど、まぁ別に良いよね。


だって幸せそうな鏡花ちゃんを見れたから。



鏡花ちゃんとお金、どっちが大切なの? って聞かれたら、迷わず鏡花ちゃんを選ぶ。



お金なんて頑張って働けば何時でもゲットできる。


でも、幸せそうな鏡花ちゃんの顔なんて、早々見れるものじゃない。



だったら優先すべきは鏡花ちゃんだろう。


あ、でも勿論お金にも限度があるけどね。



冷たい水を喉に流し込む。



そろそろ、本題に入らないとだよね……。


あんまり時間を延ばすとアレだし。



そう思いながら、視線を国木田さんに向ける。


パチ、と視線がぶつかった。



如何やら、国木田さんも同じことを考えていたみたいだ。



小さく国木田さんが頷く。


多分、今から鏡花ちゃんに質問を始めるんだろう。



……あぁ、なんか、嫌だなぁ。



でも、現実から目を背けちゃいけない。


逃げずにちゃんと向き合わないと。



私は強くなるって決めた。


ここで生きるって、決めたんだから。


だから、ちゃんと逃げずに立ち向かうよ……。



グッと、袖の中で拳を握りしめた。

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ウミソラ(プロフ) - とても面白かったです!!続き楽しみに待ってます!!! (2018年10月22日 18時) (レス) id: f06a1e9de4 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^読んでいて、楽しかったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月13日 22時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
大吉 - 面白いです!続き楽しみにしてます!! (2017年11月2日 14時) (レス) id: 565b1876f3 (このIDを非表示/違反報告)
ユリオLOVE - 中島ちゃんに鏡花ちゃんマジかわゆすこの小説大好きなので最新楽しみにしてます! (2017年8月26日 8時) (レス) id: b580a56628 (このIDを非表示/違反報告)
瑞祥(プロフ) - シュガーさん» コメントありがとう御座います!そう言っていただけると嬉しいです! (2017年7月30日 13時) (レス) id: 099595ab61 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑞祥 | 作成日時:2017年7月1日 9時

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