歪み (ページ10)

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あの出来事から三日間、練習や大事な用事以外はひたすら家に閉じこもった。

だけど今日は三日ぶりの歌番組の収録。

AR「Aちゃんなんか元気ないけど大丈夫？最近ぼぉーっとしてること多いみたいだけど…」

現場へ向かう車のなかでアラオンニが心配そうに声をかけてくれる。

「ううん、大丈夫」

大丈夫とは言ったものの、本当は怖くて不安でたまらない。

だって今日の収録…SEVENTEEN先輩も一緒だから…。オンニに相談したいと思う気持ちもあるけどこんなこと相談しても困らせてしまうだけかもしれないと思うとできなかった。

車が現場に到着し、車から降りるとちょうどよく3台の車が駐車場に入ってきた。

AR「おはようございます！」

車の方を見ないで中に入ろうとすると、アラオンニが後ろに向かって挨拶したから関係者の方かなと思い私も挨拶しなきゃと振り返った。

「「おはようございます」」

JS「Aちゃん、おはよう」

私たちのあとに入ってきた車から出てきたのは私が今一番避けたい人たちだった。

「おはようございます……、オンニ早く行こ」

この際無愛想だって思われてもいい、私はオンニの手を引き足早に中に入った。

むしろ無愛想だと思われたかった。もしかしたらそう思ってもらえればもう私に近付かないかもしれないなんて思った。

AR「どうしたの？！Aちゃん？！」

「ううん、外がちょっと寒かっただけ」

AR「今日ちょっと冷えるもんね、朝だから余計に。とりあえず控え室行ったら温かいものでも飲もうか！」

なにも知らないオンニにこんなことして申し訳ない気持ちも嘘ついてる罪悪感もあったけど、それでも本当のことを相談する気にはなれなかった。

SF「Aちゃん、この痣どうしたの？！」

衣装スタッフさんと衣装合わせをしていると肩や胸元にあの時つけられた赤い跡にスタッフさんが気付いてしまった。

「あ、これは…その…実家で飼ってる犬と遊んでたら噛まれちゃって…」

AR「あらら！私も犬飼ってるんだけど、遊んでもらえると嬉しくてテンション上がって噛んじゃうなんてことあるもんね！じゃあ今日は肩だしじゃない方の衣装にしよっか！」

スタッフさんにまで嘘をつかなければならない。

実家で犬は飼ってないし、そもそもこれは人間につけられたもの…もしかしたらスタッフさんも気付いてて合わせてくれたのかな…

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